願いを聞き届け!我が家のねこよめ

イノンド

第1話 白雪のさなかで、君の姿が待ち遠しい。

十二月深夜頃の商店街、雪が天より降り注いできた。地面に振合いと、形もなく散って逝く。

男の子と女の子がそこに佇めて、見つめ合っている。

周りに通りすがった人々からの好奇心的な目にまるで関心なく、二人の瞳の中で映し出してるのは唯々お互いの姿。

静寂は突如この世に訪ねたかのように、先まで騒めた周りの声もいつか何処かへ消えてなくなった。ですが、死の様な沈黙さと断じて違う。

だって、お互い心臓の鼓動はこんなにも激しくて。

…ドクドクと、跳ね飛んでいる。

そして、ついに…

「…そう言うわけで、だから…どうぞ、貴方の願いを」

少しかすれた乙女の声。

「これ以上言わないで!」

必死に自分の気持ちを鎮める男の子の声、まるで千切りのように痛む胸を抑えながら叫ぶ。

目の前の女の子は零れそうな涙を拭くと、継ぎに発する言葉で、まるで男の子に死の刑を下さった。

「…もう…時間が…ないの…」

「あれなんだろう、相変わらずの冗談なんでしょう?四月の嘘にしてはやりすぎるんだよ。しょうがないヤツだなぁ君は…あはは…」

男の子がいくら反論をしても。目の前でいるこの子は如何に真剣なのか、心には既に知ってるつもりなんだ。

「……」

女の子は目を閉じて、頭をさげ、唖然と男の子に見つめてくる。その様子では、まるで「キセキ」そのものを祈んでるように見える。

結果として、その「キセキ」と言うやらが女の子に応えなかった。

…彼女は見捨てられって仕舞った。

古い時計台上の短針はドンドン十二という数字へ赴いて行く。

無恕、矛盾、無意味。

世の中凡ゆる「キセキ」を嘲笑うかの様に、午夜の時限は既に目の前に迫って来た。

最後の最後、男の子が溢れられた気持ちに耐えなっかた。自分の気持ちを真正面からぶつかって試みた。

或いは、それは別れ際に最初の「ギフト」でもありうる。

「……!」

全く周りの目を気にせず、男の子は大声で「願い」を口にした。

そして、女の子は目を丸く剥いた。制御不能みたいに涙が瞼から零れ出す。

この世の中での「キセキ」など、人々の「願い」に応えて生み出させるとは限らない。

多分…いええ、きっと。きっとそれこそ女の子が求める質問に相応しい答えなんでしょう。

見つめ合う二つの瞳に初めて、暖かさが感じ取られる。

その時。

一筋の光が空から降り下ろして仕舞った。

さて、分かれるの時だ。

男の子の「願い」を携えて、女の子の体が段々光に包まれて。文字通りに溶けて行く。

「また、逢いましょう」

「嗚呼、約束する」

頓て零時の鐘音と共に、光と女の子は何処かに消えて仕舞った。残された男の子が地面に崩れ落ちた。

通りすがった人々達もまるで命令を失われた人形のように、家路へと急ぐ。

「嗚呼、そうさ。また、逢えるんだ。本当に逢えると良いなぁ」

その「願い」が確かに聞き届ければ、きっと逢えるさ。

虚ろな瞳で夜空を眺めてる一人の男の子。

人ノ子によって作り上げた星光が空を灯す、白夜となった天幕を鏤めす明星の姿がどこにもなかった。

男の子はゆっくりと身を立ち上がった。

偽りの白夜もいつかに明星の出現と伴に終わりを告げるはず。

雪ノ華が吹き乱れられた真冬の深夜。

白雪が地に落ち消えても、熱く言葉で交わした約束の誓いだけが消えないと、男の子がそれを深く信じでいる。

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