トイレに行きたい

うすたく

トイレに行きたい。

 男は悩んでいた。突如邪竜の下りし門肛門に苦痛を覚えたのだ。しかし男は皇帝の皇子エンペラー(自称)なので、濁海の間トイレに行くことは、人間他の生徒の前では避けている。誰かに魔物ウ○コが召喚される所を見られれば俺は死ぬ(社会的に)からだ。しかし、魔物ウ○コが我が身の中で猛毒の煙腹痛を発生させているのは事実。


「んぐっ・・・」


 あまりの激痛に声が漏れる。幸い疎遠の儀帰りの会が終わり、今すぐ帰れるのだが、このまま人間共生徒達が帰ってから呪いの解放排便を行うべきだろうか。いや、それでは人間共生徒達が全員朽ち果てるいなくなるのがいつになるか想像もつかない。神々の翼賛生徒会だってあるかもしれない。ここは帰り道にどこかに寄って呪いの解放排便を行うのが得策だろう。


 ギュルルルゥ!


「ふぐぁっ!」


 再度声を挙げてしまう。


「あいつ、またやってるぜww」


「ほんと、高校生にもなってまだ厨二病とかww」


 などと、我が本当の姿を知らぬ人間共生徒達は言う。だが今はそんな事などどうでもいい。今は呪いの解除を優先せねば。猛毒の煙腹痛は促進する一方だ。


 男は帰りの支度を直ちに済ませ、足早に学校を出て行く。


 ギュルルルゥ!


 再度我が身の中に住み着きし魔物ウ○コが咆哮をあげる。


(ダメだ・・・濁海の間トイレでなければ魔物の解放排便は許されぬ。ここに魔物ウ○コを召喚させてしまえば、俺は間違いなく死ぬ(社会的な意味で)。だからするわけには・・・)


 ギュルルルゥ!


 そんな俺の悩みを踏みにじるかの様に魔物ウ○コは声を上げる。


「かぁっ!ダメだ!前へ進まなければ・・・。ここからセーブポイントコンビニまではそう遠くない!セーブポイントコンビニ濁海の間トイレ魔物の解放排便を行えば・・・。」


 やっとの思いでセーブポイントコンビニに到着する。急いで濁海の間トイレにかけこまねば!


 男はセーブポイントコンビニに入ると、直ちに濁海の間トイレに向かった。しかし、濁海の間トイレの扉は閉ざされていた。


(開かずの扉使用中だと!?)


 このまま待っていてもいつ終わるかわからない。帰り道にもうひとつコンビニがあったはずだ。急げば間に合う。


 男は新たなセーブポイントコンビニを求め、列車の如く走って行った。


 ギュルルルゥ!


 絶える事なく唸る魔物ウ○コ


「ぐっ!かぁっ!はぁはぁ。」


 セーブポイントコンビニに到着し、すぐさま濁海の間トイレに駆け込む。今度は空いていた。


「勝った!これで俺は魔物ウ○コを我が身から離す事ができる。」


 濁海の間トイレの扉をこじ開ける。そこに貼られていたのは、封印結界使用禁止の紙だった。


(封印中使用禁止だとぉぉぉ!?)


 男に残された選択肢は二つしかなかった。ここから100m離れた家まで我慢するか、未来を捨て、死(社会的に)を覚悟するか。そんなもの決まってる。


 男は一歩、また一歩と足を運ぶ。その姿は激戦を終えた英雄にも思える程だった。(現在格闘中)


(やばい、俺の歩き方完全にコンテスト中の女優みたいになってるよ。しかも、さっき扉が空いてた時の安心感で少し力を抜いたから、魔物ウ○コがもう顔を出してる。死(社会的な意味で)がもう目の前にまで来ている!!)


「ここからの運命を揺るがす物信号機が全部青ならなんとかセーフか?いや、もう出かけてるけどさ。」


 男は歩みを止めなかった。邪竜の下り門肛門はもう限界を訴えている。


「まだするわけにはいかないんだぁ!」


 周囲の人々は一斉にこちらに目線を向ける。もうその時には家まであと50mになっていた。


「待っていろ、オアシス快便!!!」


 家のドアと向かい合わせになる。男はここでとんでもない失態に気が付いた。


(鍵を学校に忘れた!?)


 男は神を呼びし鈴の音インターホンに賭けた。家に誰もいなければゲームオーバー。いれば勝利。その二択にかけるしかっ!!!


 男は決死の思いで神を呼びし鈴の音インターホンを鳴らした。


 ギュルルルゥ!


 この後この男はどんな運命を迎えたのか、それを決めるのはあなたです。

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