─ 4
桜は散り、若葉が枝を覆い始めた。
中間試験も近づいてきて、クラス中は、試験の話題で持ちきりだ。しかし、ボカロ部のメンバーはそっちのけ。というのも、ボカロ部初の動画が、完成間近なのだ。
わくわくしながら、パソコン実習室に入り、A─1のパソコン電源ON!
昨日まで作成したデータの入った、USBメモリーを差しこんで、MMDを起動させる。
「結歌、早っ!」
「遅いよ、美琴に鈴」
「おまえが早すぎるんだよ」
「MMDerのあたしより先にスタンバって、なにをする」
「いよいよ完成間近じゃん。いても立ってもいられなくって」
結歌が鈴に席を譲る。
「結歌はこんなことより、試験勉強をした方が、いいんじゃないか?」
「こんなこととはなんだ! 神聖な初音ミクのMMDを侮辱するか!」
「はいはい、神聖ね。あたしはあなたの試験結果が心配だわ」
「それはだいじょうぶ! お鈴先生に、山をはっていただきましたから」
「あれは山をはったんじゃない。先生が試験に出すぞ、と言ったところをまとめただけだ」
「なおさら、案ずることはない」
「まあ、赤点だけはとらないように」
「ラジャー!」
脳天気な結歌を、一笑して、鈴がMMDを起動させる。
昨日まで創りかけた、モーションの途中で、動画は止まっている。
「どうしよう? このまま先を続ける?」
「いや、最初から見ていたい」
「じゃあ、結歌のリクエストにお応えして」
『ドッグ・ラバー』の曲に合わせ、初音ミクがステップを踏み、手を振って、体を捻る。カメラは動かず、正面から映した固定のまま。背景は、笛子の踊りが流れている。
「笛子先輩の踊りは、やっぱり良いなあ」
結歌が思わず、ため息を漏らす。
「やっぱり、振り付けを笛子先輩にお願いして、良かったね」
美琴が、賛同する。
「美琴の歌声も、なかなかだよ」
鈴が、パソコンのサウンド・ボリュームをマウスで上げる。パソコンのスピーカーから、美琴の歌声が響いてくる。
「ちょ、ちょっと止めてよ!」
あわてて、マウスを押さえる。一瞬、パソコン研究部のメンバー数人が、こっちを見る。
「でも、このやり方は正解だったんじゃない?」
「そ、それは認めるけど…」
「最初、めちゃくちゃ、反対してたけどね」
美琴はうっすら、頬を紅く染める。
*
パソコン研究部の部室を間借りして、モーションを創るのは無理だとわかった、あの日。四人は笛子先輩の家に行った。ダンスをするなら、ダンスができる場所。ダンスを創るのなら、ダンスを知っている人。至極、当然の結果で、笛子先輩も、快く協力してくれた。
モーションは、初音ミクの曲『ドッグ・ラバー』に合わせる形で進められた。
最初に、曲に合わせて笛子が踊り、ボカロ部メンバーの意見を聞きながら、微調整していく。特に、そのモーションを、後でトレースする、鈴の意見は多く取り入れられた。所作が細かいと、さすがにトレースしにくい部分が出てくる。ほとんどの振り付けは、笛子と鈴によって作成されていったが、時々、突拍子のないことを言うのが結歌だ。
「そこは、もっと、ばーんと、派手にジャンプした方が良いと思う」
「なんで?」
「着地の時、縞パンが見える」
キリっと言い切った、清々しいまでの顔に、美琴がチョップ!
「痛いなあ」
「踊りはパンツ見せるためのものじゃない」
「でも、スマイル動画で求められているのは、パンチラだ」
「そこは否定しないけど、創っているのは、私たち、女子なんだから」
鈴が冷静に割って入る。
「見る人にとって、作り手のジェンダーなど関係ない。見えるか見えないかわからない。そのじれったさの末、ほんのちょっとだけ見えた時に流れる『見えた』のコメ。これこそスマイル動画の真骨頂」
良いこと言った、あたし(キリ)By鈴
「だそうです。どうしますか? 笛子先輩」
「曲自体が、ジャンプを多用するようなテンポじゃないから、そこはカメラワークで見せればいいと思う」
「笛子先輩。そこ乗るんですか?」
「ですよねー。さすが、笛子先輩はわかってらっしゃる」
「でも、歌声がミクだと、パンチラは踊りづらい」
「別のボカロにしますか?」
「そうじゃなくて、人の肉声がいい」
「とはいっても、この曲に『歌ってみた』はアップされてないし」
笛子が、物欲しそうな目線で、美琴を見つめる。
「ちょ、ちょっと待ってください」
「このあいだのカラオケ。上手かった」
「そうそう! あれ良かった」
今度は肘打ちが結歌の脇腹に命中する。
「ぐほ」
「そんな上手くないですよ」
「歌って欲しい」
「いや、いくら笛子先輩のお願いとはいえ…」
「美琴の歌声なら、もっと良いダンスが踊れそう」
マジマジと美琴を見つめる、笛子。
「わ、わかりました。歌います。歌いますよ」
「ありがとう」
早速、美琴の歌う『ドッグ・ラバー』が録音された。
いくらカラオケ慣れしているとはいえ、一曲を間違えず、通して歌うのは難しい。間違えたところや、音程が微妙なところを中心に再録音して、美琴の『歌ってみた』が完成した。
「これだけ先に、スマイル動画アップしちゃおう」
「それだけは止めてくれ」
「いいじゃん。この曲の宣伝にもなるよ」
「私の『歌ってみた』が宣伝になるとは、到底思えないけど」
「なるよ」
鈴が、ぼそっと言った。
「スマイル厨のあたしが保証する」
「じゃあ、MMDと同時進行で、これに絵を付けますか」
「ちょっと結歌。なに、勝手に進行してんのよ」
「いいじゃん。あたしのアカウントでアップしといてあげるから。絵は適当なのを、ペクシブからダウンロードして、それを継ぎ接ぎして…」
結歌のこめかみをグーで挟んで、ぐりぐりする。
「痛い痛い痛い痛い」
「動画を編集できるなら、最初からあんたがMMDを創ればよかったでしょ」
「静止画を継ぎ接ぎにして動画にするのと、MMDで動画を創るのは、別の行程や作業と才能が必要なんだって。ねえ、鈴ちゃん」
「そうね」
「『歌ってみた』をアップするかどうかは、一旦、おいといて、今はMMDの振り付けに使おう」
笛子の提案で、美琴の歌ってみたに合わせ、振りを付け、それをビデオに撮る。今度はそれを、学校のパソコンに取りこんで、MMDでトレースするという作業が続いた。
*
そして今日。トレース作業の最終段階までやってきた。
じゃあ、音はヘッドホンで聴きながら。
曲の最後は、散歩している犬。リードを握っているのは、あたしなのに、勝手に走り回って、振り回される。まったく、しょうがない犬ね。
実は、リードをつないでいるのは犬ではなく、手をつないでいる彼であって、散歩しているようで、実は逆にあしらわれていたのが自分だったというのが、この曲のオチだ。
オチは、曲がフェイドアウトする訳でもなく、突然、終わる。
曲のサビで、相手に振り回される自分自身を、ハンマー投げの選手が、投げるハンマーの様に、逆に振り回されている様をダンスっぽくアレンジ。曲の終了と同時に、尻餅をつき、彼に振り回された結果を現す。
笛子のダンスを、丁寧にトレースしていく鈴。非常に地味な作業で、この場に結歌や美琴がいても、実はあまり意味がない。
しかし、結歌と美琴は、スマフォを使って、この動画の背景やエフェクトを検索していた。
「やっぱ、塔じゃない? レア様、踊ってたし」
「塔じゃ散歩にならんでしょう。ゲキド街なら、散歩向きだし」
「ゲキド街はありきたりだあ。インパクトに欠ける」
「結歌はインパクトありすぎなんだよ」
「なにを言う! 過去のMMDは、みなインパクトのあるステージからデビューしてるんだよ」
「あまり気をてらっても、引かれるだけだって。そもそもこの曲は、片思いの彼を犬に例えて、散歩につれまわす。テーマは彼との散歩なんだから、バックステージは日常の方がしっくりくるって」
「いっそ、SFっぽく、ピアノの鍵盤で彼を散歩して、水銀のように反射する噴水で水遊び。風船の飛ぶ、ヨーロッパの街並みを駆け抜けて、七色のヒカリが点滅する、不思議な部屋に迷い込んで、飛び出したら、学校の校庭だった」
「歌詞とまったく関係ないな」
「MMDのPVって、だいたいこんなもんでしょ?」
「まあ、そうだけど」
そこに笛子が、やってくる。
「笛子先輩は、ステージ、何が良いと思います?」
結歌がスマホをタップして、今、美琴と選んだ、いくつかの候補を見せる。
「どれもみな、素敵なステージ」
「そうじゃなくて、自分のダンスに合うステージって、どれだと思います?」
しばらく、ステージを見比べて、笛子は言った。
「みんな、良い」
「カメラワークに、何かご意見、ありませんか? ダンサーならではの視点で」
うーんと、しばらく考え込んで。
「ダンスにカメラワークは無いから、みんなに任せる」
「そうですか」
そこに、鈴木裕二が入ってくる。
「嫌な奴が来たな」
美琴がぼそりと言った。
彼こそ、前に、結歌たちの活動に難癖付けてきた奴だ。C─4のパソコンに集まっていた、部活の仲間と合流する。
結歌がスマフォをタップする。
「あっちはあっち。こっちはこっちで、やりましょう」
と言ってみたものの、彼のことを一番、気にしているのは、結歌だ。
曲をちらっと聴いただけで、曲名を当て、その曲がスマイル動画で十万再生を越えていない、つまり、殿堂入りしていないことを言い当てた。これは、ボカロの曲を、よっぽど知っていないとできない。
彼は、初音ミクとか、MMDとか、ボカロとかを知っている。かといって、問いただしたとしても、正直に答えるとは思えない。問いただしたい気持ちは、今にもあふれでそうだが、止めておこう。今は、自分たちが創っているMMDを完成させることが先決。
「ふー!」
深いため息をついて、鈴がイスにのけぞった。
「終わったあ」
「えっ! 終わったの?」
「とりあえず、最後までできた。つっかれたあ!」
「早速、見てみたい!」
「ちょ、ちょっと待った。まだ、動作の微調整が済んでいないから」
「いいじゃん」
美琴や笛子も、身を乗り出す。
「見たい! 見たい!」
「モーション提供者として、一番に見る権利を要求する」
笛子以外の三人が、ギョッとする。
「見せて」
「はい。わかりました」
「「「笛子先輩って、こんな一面があるんだ」」」
*
四人で、今、できたばかりの、MMDを見終える。
固唾を飲み、食い入る様に見入っていた三人。あまりにも静かな様に、不安を覚える鈴。
「ど、どうだった?」
恐る恐る、訊いてみる。
「「「ふー」」」
三人、一斉にため息を漏らす。
突然、ガッと結歌は鈴の手をつかみ、にぎりしめた。
「良かったよ!]
「あ、ありがとう」
「よくやった、鈴。あなたのモーションは、栄光と共、永遠に語り継がれるであろう!」
一気に、肩の荷が卸りた鈴は、ほっとして、うっすらと涙を浮かべた。
「ごくろうさまです。そして、ありがとう」
結歌が鈴の肩を揉む。
「次は背景に、カメラワーク、エフェクト処理だね」
一仕事終えた鈴に、美琴が追い打ちをかける。
「ちょっとは、いたわってよ~」
「ごめん、ごめん。でも、良くできてると思うよ。ただ、最終的には完成してみないと、なんとも言えないけど」
「美琴は鬼だ。重労働を終えたあたしに、労いの言葉、ひとつかけてくれない。あまつさえ、『やっとネームが終わりましたね。じゃあ、すぐ下書きに入ってください』と、漫画家に言い放つ編集者のようだ」
「うん。だいたいあってる」
「あってるって言うなー!」
「これからどうしようか、鈴。モーションの微調整を続ける? それとも、背景やカメラワークに取りかかる?」
「背景やカメラワークによって、手を加えたくなるモーションも出てくるだろうから、先にそっちを決めようか」
「じゃあ、みんな鈴の家に行こうか」
「ちょ、ちょっと待って。なんで、あたしん家?」
「だって、MMDを創る環境は、全てそろってるでしょ」
「そりゃまあ、そうだけど」
「今日はまだ、時間あるし。善は急げ」
結歌と笛子は、目をキラキラさせている。
「わかりました。じゃあ、行きましょう」
ぞろぞろと、パソコン実習室を出て行くボカロ部のメンバーを、鈴木裕二は怪訝に見送った。
「俺、帰るわ」
そう言って、裕二はバッグを持って、席を立った。
「ちょっと待てよ、鈴木。おまえの持ち分が完成してないぞ」
「明日やるよ」
「最初の締め切りから、もう一週間以上、過ぎてるじゃないか」
裕二は無言のまま、パソコン実習室から出て行った。
「なんだ、あいつ」
「まえから、愛想の無い奴だと思ってたけど」
「やる気、ないんじゃねーの」
部員達は、口々に、裕二の悪口を言った。
裕二は、部室から出て行った、ボカロ部のメンバーを追うこともなく、徒歩五分の自宅に帰った。
ドアの鍵を開け、玄関で靴を脱ぎ、階段を上がって、最初の部屋の前で立ち止まる。家のドアと同じような、頑丈な鍵を開け、ドアを開ける。薄暗い部屋に入り、ドアを閉める。
部屋の灯りを点ける。
すると、部屋には、所狭しとパソコンやキーボード、ギター、アンプが並べられている。
バッグを、二段ベッドの上に放り投げ、その下にセッティングされている、パソコンや外付け機器の電源を入れる。キーボードが青く光り、ワイドモニターが、起動画面を映し出す。画面はやがて、青い髪をツインテールにまとめた、見覚えのあるキャラクターの壁紙を映す。
初音ミクだ。
手慣れたキーボード操作で、ひとつのフォルダを開く。『doglover』というファイルを、ダブルクリックする。すると、モニターには、ボカロ部のメンバーが、一所懸命、動画を創っていた元となる『ドッグ・ラバー』が再生された。
*
中島鈴の家に集まった、ボカロ部メンバー。藤田結歌。下田美琴。浅川笛子が、パソコンのモニターを覗きこみながら、喧々囂々、侃々諤々、話しながら、どつき合っている。
「だから、ここのモーションには、ヨーロッパの街並みが合うんだって」
「イヤイヤ、そこはゲキド街でしょう」
「あたしは、SFちっくに、空に浮かぶ鍵盤が良いと思う」
曲の出だし、主人公と犬(に見立てた彼)が散歩に出るシーンから、背景について揉めに揉めている。
「歌詞は、公園へ散歩ってあるんだから、ゲキド街の公園でしょ」
「美琴は何もわかってない。歌詞のとおり、背景を描かなきゃいけないなんて決まりはない。
PVは、曲調と歌詞の雰囲気が合っていれば、なんでもいい」
「笛子先輩のほうがわかってないと思います。いくらなんでも、空中鍵盤じゃ違いすぎる」
「だから、ヨーロッパの街並みをですね、おふたりさん」
「結歌の言う、その街並み、VPVPWikiにアップされてないじゃん」
「そんなことないよ。MMD杯でいろんな人が使ってる。どっかにアップされてるはず」
「じゃあ、鈴。見つけて」
「言われなくても、捜してるって」
そんな様子を、ふたりの男の子が見ている。金太郎と銀次郎だ。
「ねーちゃんたち、こえぇ」
「見つけた! あった!」
鈴が大声をあげる。
「「「おおー」」」
鈴が背景を、モニター展開する。
「どう思う?」
目を輝かせている結歌に対し、いまいち納得しがたい表情の美琴と笛子。
「うーん。良いっちゃ、良いけど」
「やっぱり、見比べたい」
「はいはい」
鈴は指示どおり、ゲキド街や空中鍵盤、ヨーロッパの街並みの他、アップされている背景を、手当たり次第、モーションに合わせてみた。
「こうして見比べると、ヨーロッパ街が一番、合ってる気がする」
「私もそんな気がしてきた」
「ね、ね、あたしの言ったとおりでしょ」
「まあ、スタートはこれで良いんじゃない?」
「同意する」
「やった! じゃあ、鈴。背景はこれで」
「いや、ちょっと待て。スタートはこれで良いとして、その次はどうするの? カメラワークは?」
「そういえばだいぶ前、結歌が言ってたよね。非現実的な感じ」
「ピアノの鍵盤で彼を散歩して、水銀のように反射する噴水で水遊び。風船の飛ぶ、ヨーロッパの街並みを駆け抜けて、七色のヒカリが点滅する、不思議な部屋に迷い込んで、飛び出したら、学校の校庭だった。だっけ?」
「よく覚えてたね」
「結歌ちゃん。尊敬する」
「いやあ、それほどでも」
「カメラワークは?」
「そうだな…。スタートは街の小路地。カメラはミク中心にして、リードを握っている手は、常にフレームから見切れていて、握っているのが本当に犬のリードなのか、彼氏の手なのか、わからないようにする。ミクを中心にカメラが周りを回って、視点もメリーゴーランドで上下する馬みたいに。でも、絶対に、手の先は見せない」
「ほうほう」
鈴が言われたとおり、カメラを動かす。実際のモーションで、ミクの右手は何も握っていない。右手から先が写りそうになった時は、カメラを空か地面に向け、あくまでも右手で何を握っているかは、フレームに入れない。
「ちょっと待った!」
「なに?」
「今、ミクの足下、写したよね」
「うん。それが?」
「足下に映った影。右手の先まで入ってる」
「あ、ホントだ。よく気がついたね」
「あたしからも言いたい」
「ど、どうぞ笛子先輩」
「正面から撮影した映像をトレースしたせいかも知れないけど、前後のモーションがおざなり」
「すいません。その辺は想像でやりました」
「それと、スカートの物理演算は、もっと軽い設定で良い」
「でも、軽くすると、足がスカート、突き抜けちゃうんですよ」
「スカートにもっと、ボーンを入れて、当たり判定を厳しくすれば良いと思う」
「でも、なんで軽い方が良いんですか?」
「ダンスでは、スカートとか、フリルとか、大きく動いていた方が、見栄えが良い」
「なるほど」
熱く語りあう三人の外で、美琴がひとり冷めていた。
「じゃあ、後の動画作りは、みんなに任せるわ」
「え? なんで?」
「だって私は、鈴みたいにMMDを使えないし、笛子先輩みたいにモーションにアドバイスできないし、結歌みたいに、動画の演出? っていうの? そんなことできないし」
「そんなこと無い。美琴の歌声は、私のダンスにイメージをくれた」
「それもモーションになっちゃえば、もう出番、無いしね」
「「「…」」」
そこに、金太郎と銀次郎がやってくる。
「ねーちゃん。お腹減った。飯まだ?」
鈴はハッとなって、時計を見た。
「いっけない。もうこんな時間。すぐに支度するね」
鈴がみんなを見る。
「ごめん、みんな」
「いや、うちらの方こそ、遅くまでごめん」
鈴以外の三人が、アパートを後にした。
帰りがてら、なにを話すでもなく、ただ、歩いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます