、、、どうして、そんな事、、、聴くの?
「、、、どうして、」
「そんな事、、、聴くの?」
彼女が返してくる。
言葉に悲しげな響きを感じる、ボクは後悔と噴出する汗にまみれながら次の言葉を探った。
「い、いや、、、そ、その、」
「ボク達だって何時までも子供じゃ無いし。」
「ルキノちゃん、、、美人で可愛いから。」
「か、彼氏がいたって不思議じゃない、、、と思って。」
「、、、ルキノちゃんだって、、、、ぼ、ボクに聴いたじゃない、、、、、」
しまった。
ボクは自分の身勝手と臆病を誤魔化すため、彼女を責める様に言い訳を口にした事を後悔する。
「、、、、、」
「ふ、、、、ふふふ、、、、ふふふふ」
次の瞬間、ルキノちゃんはクスクスと嬉しげに笑い出す。
ボクは笑い出した彼女にあっけにとられ、心配になって声をかける。
「ルキノちゃん??」
ボクは振り返る。
彼女はスクール水着に着替え終わっていた、、、、
「ご、ごめん。」
「自分が「美人」で「可愛い」のは知ってるけど、改めて言われると照れちゃって。」
自意識過剰ですか!!ルキノ様?
次に彼女は安堵とも喜びとも着かぬ表情をしながら、ボクに言い放つ。
「ふうぅぅぅん、そっかあぁぁぁ。」
「「美人」で「可愛い」、 「美人」で「可愛い」。」
「大事な事だから2度言うわね。」
「それが君の私に対する評価かぁ~。」
訂正。
勝ち誇った者の表情でした。
でもボクは、気まずい雰囲気は消し飛んだ事にホッとする。
そして、今更ながら彼女のある変化に気が付く。
「ねえ、なんでスク水で眼鏡なんか掛けてるの?」
問われてルキノちゃんが、顔に手をあてる。
彼女は少し釣り上がったデザインで、顔の鋭さを強調する。赤いフルリムフレームの眼鏡を掛けていた。
きつい印象があるが、普段と違った彼女の知性を強調する様な雰囲気が、ボクを虜にする。
「あ、コレ?さっき教室に忘れていたのを見つけたからよ。」
「何処で無くした解らなくて困ってたのよ。」
「見つかって良かった~。水着取りに来て正解だったは。」
ルキノちゃんの言葉には、「ホント、助かったよ」言うニュアンスが滲んでいた。
確かにボクには解らないけど無いと色々困るだろう、ホントに今の彼女について知らない事ばかりだ。
「視力、落ちたんだね。」
ボクは今の彼女が知りたくて問う。
「うん、実はね。」
「コンタクトレンズと併用してるの。」
「、、、眼鏡の女の子って嫌い?」
ルキノちゃんは両手で顔から眼鏡をはずそうとする、声のトーンがまた下がった感じがした。
「待って。」
ボクはルキノちゃんに近寄って、両手を彼女の両手に沿え、眼鏡を掛け直させる。
「ルキノちゃんは眼鏡を掛けても「美人」で「可愛い」。 「美人」で「可愛い」。大事な事だから2度言うよ。」
そう言って彼女の顔が間近にある事に気が付く。
キス出来るほどの近くに。
そして自分でも「よく我慢出来た」と感心するほど自然に、彼女から距離をとる。
「さあ、着替えた事だし。行こう、川へ。」
この場は静か過ぎる。
「安堵」の次に顔を覗かせる「欲望」。
自分自身の心の揺れが許せない事を、場所のせいにして平静を保つ。
「待って、、、、、番兵くんに、、、、、ご褒美。」
そう言って彼女は「清純」を思わせる肢体を机に馳せ、ボクに媚びるような視線を眼鏡越しに投げかけてきた。
「、、、、ルキノちゃん、行こう。人が来ると面倒だし、暗くなると川で遊べなくなる。」
彼女はボクの言葉に少し驚いた表情を浮かべたが、制服を着直して教室を出た。
彼女に誘惑されて理性が飛んだ。
身体中を熱いモノが駆け巡り、漲らせた。
行動に出なかったのは、欲深いから。
ボクの大事なルキノちゃんの「そういう姿」を、自分以外の誰にも見せたくなった。
ボクだけが「独占」したかった。
この場は相応しくない、それだけの動機だった。
いつもは彼女の後を着いて歩くだけのボクが、彼女の手を握り、先導し足早に外に出る。
来た道を帰るだけ、ルキノちゃんのルートは完璧だった。
学校関係者に会う事無く、外に出ることが出来た。
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