じゃあ、これからもヨロシクね!!
「チリリリ~ン」
風鈴の音で目覚める。気付くといつの間にか、祖父母の家の縁側で眠ってしまっていた。
日はとっくに暮れ、あたりは闇に包まれていた。再び湿気を帯びた風が吹き、風鈴を鳴す。
「、、、、ルキノちゃん???」
先ほどまでの出来事、数日の出来事を思い出す。
夢?にしては生々しい。当然「恐怖」が襲い掛かってくる。思わず自身で震える肩を抱いた。
家の前に車が止まる音がした。そして玄関で呼び鈴が鳴る。お勝手からも人が入ってくる気配。
やってきた人達を見て僕は驚く。
「皆?それにルキノちゃん、、、」の、お父さん。
ボクは皆から事情を聞かされた。
「!!」
そして大声で泣き叫んだ。
何処とも知れない場所。
真っ青な空。
ソレを映す波一つ無い、鏡のような水面。
遠くに見える天と地の境界。
太陽は見えないが昼間のように明るい世界。
ルキノは言った。
「じゃあ、これからもヨロシクね!!」
白衣の案内人は答える。
「オイオイ、お嬢さん。願いは無事、叶えたはずだよ?」
我侭な娘だと言わんばかりに返す案内人へ、彼女は食い下がる。
「ええ、一つだけ叶えてもらったは、でも一回とは言わなかった。」
案内人は低く笑った。
「お嬢さん、警告するよ。コレで終われば、綺麗な思い出のままだ。次がどうか、次があるかも解らない。」
案内人は欲張りな愚者を、威圧すように睥睨したが。愚者は怯まなかった。
「かまわない、約束したの。また来年、夏に会うの。スイカ食べて、遊園地で遊んで、ベットで愛し合うの。」
「他にももっと一杯、色んなことをして、色んな所に行って。彼と夏休み国を楽しむの。私は自分の直感を信じる。」
案内人は溜息をついた。
「ま~確かに、君はその直感で人一人救った訳だから。信じるに足る根拠ではあるね。」
「、、、解った。説明不足の部分について責任は取ろう。」
情が移った、、、違う。仕損じた仕事をやり遂げるのは職務だ。案内人はそう納得した。
傍らでルキノは「花火大会」「海水浴」と行事を並べ、次の夏休みの計画に夢中だった。
僕は帰る。君と居たあの場所に。
君が好きな夏に。
帰って来る君を出迎える。
君が僕にしてくれたように、君に寂しい思いはさせない。
何時か向こうで。
また一人彷徨う僕を見つけて。
きっと君は声を掛けてくれるだろう。
その時にまた、聴いてくれるかな?。
あの時の、言葉を。
終
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