ねえ、ここは大丈夫?

 「どうすればいい?」

 

 覚悟は決まった、迷いは無い。世界を、「国」を維持する、それだけの事だ。基本はボクが彼女をどう思っているからしいが、そこはもはや問題じゃない。

 

 ここが通常じゃないのは充分解った。と、すれば「案内人」から直接説明を受けたルキノちゃんの情報を細部まで確認し、対応するしかない。


 静かに意気込むボクに反して、ルキノちゃんは何時もの調子を取り戻したように見える。そして、、、


 ベットにうつ伏せになりコチラに誘うそうな視線を投げる。少しワンピースがめくれ、、、か、可愛いピンクの下着がのぞいてますぅぅぅ?


 「あんなに激しく、あんな大胆にキスしたり抱きしめあったのに。何を今更怖気づいてるの?ビビリ君!!」


 ルキノちゃんを護る決意を固め、燃え上がるボクの心とは予想外の事態。


 混乱は避けられません。ルキノ委員長、説明責任を果たして下さい。


 「まずは私の身体に、もう傷が無いか調べて。あればそこに、さっきの薬を塗って欲しいの。」


 ボクは慌てて薬瓶を見る、ベットの脇に置いたそれの残りは決して多くは無い。


 不安そうなボクに彼女は答える。


 「大丈夫よ、使い切っても次が出てくるはず。でも無駄遣いはしないでね。」


 ああ、何かネットゲームでそんな感じの制限アイティムがありましたね。


 納得したボクは、彼女の肢体を丁寧に調べ始める。最初の時は、ただ必死だったが。状況が落ち着いた今、、、やはり少し興奮してしまう!!


 人間とはなんと言う生き物だろう。人の欲望とは、、、、安心安全が如何に人の発展と繁栄に貢献するか解った気がする。


 取り合えづ、彼女にベットの上で転がってもらい、ワンピースをズラしてもらって。あの酷い傷が無いか調べる。


 ルキノちゃんは僕の言うままに寝そべり。あ、足を広げ、、、、ワンピースをめ、めくりあげた!!


 はじめは戸惑った、見ることも、目を合わせることも罪だと思った。


 服の下、見える範囲で大きな傷は見当たらない。小さな傷。虫刺されの様なそれに、指先で薬を塗っていく。


 「やだ、くすぐったい。」


 ルキノちゃんが身をくねらせる。耳に届く彼女の声音が、色っぽく聞こえるのはボクの「煩悩」のせいだ。


 彼女の白い肌、スリムな肢体に腰のくびれ。パンティーに包まれたお尻が以外に大きい。指先に伝わる柔らかく、滑るような肌の感触。


 だけど、彼女が心配だった。調べ始めると本来の目的意識が強まり。興奮よりも集中が勝る。愛の力は偉大だ。 


 「大丈夫だよルキノちゃん。もう傷は見つからない、安心だね。」


 ボクは心から安堵して言った。


 「まって」


 そう言って彼女はワンピースの肩ヒモを解き、脱ぎ始めた。


 「ルキノちゃん!!」


 うろたえるボクに、彼女は呆れ顔で言う。


 「あたりまえでしょう。わ、私だって恥ずかしいんだから。でもこの先の事が掛かってるの。」

 「解るでしょ?それとも変な気持ちだけで私を見ているの?やっぱりそう言う事?」


 「違う!!」


 ボクは即座に否定した。


 ボクの否定の言葉に、彼女の顔には安堵の微笑みと「恥じらい」があった。ボクはまた、興奮を覚えつつ「男ってヤツは」と自身を呪った。


 しかし身体は違った。


 先ほどはまだ大丈夫だった。理由は解らないとしか言いようが無い。性的嗜好?刺激の強さ?確かにワンピースを着ていたら見え無い箇所や意識しない部分が幾つかある。


 手は出さない。あの忌わしい傷が無いかを調べているだけだ、だけだ、、、だけだ、、、だけど、、、、。 


 下着姿の彼女の肢体がベットに横たわり、身をくねらせ、見せ付ける。ピンクの下着が薄っすらと透け、何かが見える。

 下着に隠れていても、ソレは布地越しに「形」として浮きあがり。かえって想像を刺激された。


 「ねえ、ここは大丈夫?」


 「!!」


 彼女は際どい位置まで下着をずらし。確認を求めた。少しだけ、赤くなっているように見える。

 

 下着をもっとズラせば、、、、そ、そんな事は出来ない!!


 ボクはやむなく手を、下着にの中へと這わせていく。が、罪悪感から手早く済まそうと、返って少しギクシャクと力が入ってしまい、下着を引っ張る形になる。


 「痛い、引っ張らないで」


 ルキノちゃんが訴える。


 「ご、ゴメン」


 「優しく、ゆっくり、、、、お願い。」


 彼女の声がとても艶かしく聴こえた。傷つけないように、ゆっくり優しく薬を塗るだけ、、、、指先を動かす度に。彼女の吐息、身体の反応が、、、目を合わせた時。ルキノちゃんは恥らうように顔を背けた。


 ボクは「美意識」と「本能」という欲望の荒波で揺れ動く「自我」のと言う頼り無い小船の舵を必死で操り、何とか目的を全うした。


 だが「ソコ」はもうギンギンに漲っていた。


 ボクは我慢の限界だった。


 「大丈夫だねルキノちゃん、良かった。」

 「ゴメン。ボク、汗掻いたからシャワーを浴びさせてもらうよ。」


 チョットの刺激で迸りそうだった。


 いや、彼女に刺激そのものを求めてしまう寸前だ。とにかくこの場を離れなければ。


 ベットから立ち去ろうとした時だ。


 「私もシャワーを浴びるは。」


 彼女がベットから立ち上がり。そして下着に手を掛け、下げる!!


 「る、ルキノちゃん!!」


 ボクはさっきから同じ驚きの台詞を繰り返している気がする。だが仰天したせいで治まった。


 ま、まずは一安心。


 ルキノちゃんは笑った。


 「、、、、どうしてそんなに頑ななの?」


 彼女の大胆な一言に、戸惑いつつもボクは伝えた。


 「同じ過ちは犯したくないんだ。昨日の風呂場での出来事みたいに、欲望だけで物事を進めたく無い。」


 ルキノちゃんは思案顔で考える。ブラだけで下は脱いでいると言う凄い格好だ。


 「ボクも明確な線引きはわからない。たださっきは君を護りたい、助けたいって心がそうさせたんだ。いや、ちょっと欲張ったけど、、、、」


 「今、そうする必要性を感じない、取り合えず乗り切ったから安心してるんだと思う。ボクだって「したい」って思う。でも、なんか弱みに付け込み流されるんじゃなくて、ルキノちゃんを愛したい。汚したくないんだ。」


 「むしろルキノちゃんは、どうしてこの状況で積極的なの?」


 ボクの言葉に答える代わりの様に、彼女はブラを外した。ボクはその姿を淫らでなく、とても美しいと感じた。


 「明日、世界が、「夏休みの国」が終わるかも知れないから。」


 ボクはその言葉に愕然とした。

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