第38話
私は考える。
何故こうなったのか……
答えは、やはりあのブルーベリー農家に行き着くんや。
……気付いとるやろ?
私が孝典さん以外に、気になる人がいること。
今までは、鍵を閉めていたんや。
「桜井さんは、孝典が好きか?」
宮本さんが聞いたわ。
宮本さんの助手席にいた私は、ポーッと外を見ていたんや。
「好きですよ……けど」
「けど?」
「変なこと言ってええ」
私は宮本さんに言うた。
「変なこと? 聞きたいざ」
「孝典さんには恋してます。そして……幸隆さんには……」
「幸隆には」
「……愛してます」
不思議なおっさんやわ。
宮本さん、不思議やわ。
私はなんかの魔法に掛けられたかのように、言い切ってもたんや。
後悔はない。
「恋と愛の違いはなんや」
宮本さんが聞いたわ。
「宮本さん、時間あるかあ?」
「ん?」
「ドライブせんか?」
「……遠回りして、松浦商事に行くか」
決まりやな。
恋と愛……どちらが上かは知らん。
しかし二人に、私は一つ違う接し方をして来たことに気づいてたんや。
封印を解かないアカンな。
ブルーベリー農家での、幸隆さんとの出会いを!
孝典さんの食べられるお菓子とは、程遠い内容かもしれん。
でも、封印を解くわ。
それほど、もったいぶる理由もないから。
さて……
つづく
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