第11話 青空教室
「ルドルお姉さんの、天気予報。今日は昨日の嵐が過ぎさって快晴でしょう~」
朝食の席にて、俺は「その予報は山を知る老人なら出来るだろう」と格言する。
沖田教の教主、門松は父との約束のために里帰りしたらしい。
父とその
父の知己の中には冒険王も居る。
「ご馳走様でした」
食事を摂らなくても問題なく生きて行けると豪語していたウェンディがまごまごとした手付きで食事を終えると、彼女は
俺もウェンディの後を追い、砂浜へと足を運んだ。
寄せる波、返す波、ウェンディはその
「ウェンディ、そんな
「ウンコも限界まで我慢した方がえぇんじゃ」
「さてチュンリー、約束通り、今日から俺の
「ウンコじゃ」
俺はチュンリーとマオを対象にした青空教室を実地した。洋館には紙とペンがなく、ならばこの砂浜で代用するのが手っ取り早い。先程の朝食の席で、チュンリーが気に入ってしまった音楽プレイヤーを交換条件にし、二人に打診すれば即答でOKを貰えた。
「青姦教室? やだん、若いのねん」
ルドルの小馬鹿にしくさった横やり、それは無視して欲しい。
「じゃあまずは、『かんたん』って漢字を書いてみてくれ」
チュンリーは「あい」と頷き早速取り掛かり、マオは無言だった。
二人は満足に学校へ行ってなかったらしい。
亜人と聖人とでは
「漢字だけじゃなく、英語も覚えておいて損はないない。いいですか~? エェ、ビィ、シィ~、DEFG、えっち」
ルドルの挑発にチュンリーは『るどるさんに死あれ』と書き留め対抗していた。
なるほど、平仮名は書けるらしい。
「うん、チュンリー
「あのさ、ふざけるぐらいなら私やんないよ」
マオは苛立ちを包み隠さず、無粋なことを言って来た。
「別にそれでもいいさ、でも、例の話しは考えてくれたか?」
例の話しと言えば一つしかない、俺と共に世界の果てに行くことだ。
マオは唇をとがらせ、
そして多分だが、「――ここから動くに動けない」と呟いたと思う。
「チュンリーとマオはどうしてここに流れ着いたんだ?」
疑問なのは、ルドル以外の四人の経緯。
何か重大な事実が隠されているかも知れない。
だがウェンディに訊いても無駄だ、彼女は記憶が失せたと言っていたから。
「私もチュンリーも、ウェンディと同じで記憶にないから」
瞬時に分かる、分かり易い嘘だった、だけど。
だけどそれは彼女達の心の傷で、不用意に詮索してはいけないことだ。
彼女達の心の傷はまだ癒えてないと見える。
きっと、彼女達は俺の想像以上の
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