第7話 気づき
つまりはこういうことであった。
6回目のタイムリープで事件が起こる1.2時間前に俺は組織への対策として様々なトラップを仕掛けていた。
仕掛けるのにはかなり時間がかかったがその時に組織の連中をトラップの方向へと誘導出来なかった為、それらは不発に終わっていた。
それはタイムリープが終われば次に同じ場所に来た場合は「なかったこと」となってしまうはずである。
次にタイムリープして来た時に前に仕掛けてあるものはないはずなのである。なぜだ・・・・・・・。何故俺の仕掛けたトラップが存在してある。
そして他にも2回目のタイムリープで彼女は手に持っていた財布を逃走中に落としていた。俺が事件が起こる2時間も前に急いて彼女を誘導した際に彼女が落としていたのである。
だが何故・・・・・・・。俺はまだ彼女に出会ってすらいないのに財布が落としてあるのだ・・・・・・。
何が起こっているんだ・・・・・・・。
疑問は疑問として残っていったが今は彼女を救うほうが優先である。
「そうだ。彼女を助ければ全てが終わる。もうこんな事考えなくていいんだ。」
俺は思考を振り切り、フルスロットルで彼女を救出しに向かっていった。
「やあ?目覚めたかい?」
俺は目を覚ましていた。もはや無自覚の動作であった。
見渡すといつも見た風景。いや見飽きた風景。俺の部屋だ。
「またか・・・・・・。」
俺は自分の無力さを嘆いた。また彼女を救えなかったのだ。
何がいけない・・・・・・・。
もとより勝ち目が無い戦いということは分かっていたがここまでとは思っていなかったのだ。
だが、収穫はあった。俺が過去にタイムリープで行なった行為はそのまま「放置」されているのである。
何故このような事になっているのかは分からなかったが気づいた以上これを使わない訳にはいかない。
とある事に気づいた。
「チケットをよこせ」
俺はまたタイムリープを行う。次は、次こそはそんな想いを胸に秘めながら。
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