episode3

「それで、捕獲したストレムは誰の下僕だったの?」


ストレムとは17年前にこの世界に侵入してきた攻撃系の怪物のことだ。

人の姿をしているものもあれば、この世界の犬や猫のような姿をしているストレムもいる。


「今回の捕獲対象は赤の下僕でした。」


「赤か…珍しいね。」


ストレムには階級があって、一番上から

黒、赤、青、緑と色で分けられている。

上位のストレムになる程この世界への影響力は小さく、基本的に関わりのない存在だ。


「赤が出てきたのは、気まぐれか何か理由があるのか……そこをちゃんと聞き出さないとね」


「赤の下僕はすでに引き渡しが完了しています。あとは報告を待つしか…」


「情報を引き出したいなら僕が行こうか?」


「シロ?何処いってたの」


この部屋に来る前に姿が見えなくなっていた黒狼の双子の弟、白狼が甘い香りを纏わせて入ってきた。


「白狼が……確かに君に任せれば確実だろうけど、君立ち入り禁止令出てなかった?」


シロは拷問を得意としていて今までも情報を引き出してきた。けれどそのやり方が周りに多大なる迷惑をかけていたために庁から

立ち入り禁止令が出されていた。


「そんなの凛がいればどーにでもなりますって」


「白狼、お前の趣味に凛を巻き込むな」


眉間にしわを寄せ、溜め息を吐くクロは

呆れているようなでも怒っているような

表情をしている


「えークロも隊長に甘いとか言うわりにこういうことに凛を関わらせないようにするよね」


飄々とした態度でそう冗談めかすシロに


「私なら別に平気」


と言うとクロがしかめっ面をしながら

怒鳴ってきた


「だからお前は自分からそういうことに巻き込まれに行くなって何回も言ってんだろ」


「でも、何か私にも出来ることあるなら」


「お前は……っそういうことをもう、しなくてもいいんだよ」


怒った様子でそう言い出ていったクロを見つめる私にシロが


「ありゃ、からかいすぎたね。ごめんね凛」


と謝ってきたけれどなぜ謝罪してきたのか

また、私には分からなかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る