2-20 epilogue

 「それにしてもこの骨どこから拾ってきたんだコイツ」

 青年の問いかけなど耳にも留めず本能のままに骨にむしゃぶりつく獣。

 諦めたように一つため息を吐く。

 「もしかすると人体標本とかだったのかも……」

 「なら返した方がいいのか?」

 「でも先生何も言ってなかったからだ、大丈夫、だと思う……多分」

 「あっ、あの野郎またどこかに行きやがった」

 「あそこ」少女は天井の隅を指さす。

 壊したのか元から壊れていたのか判断し辛い小さな穴が開いており獣は器用にその躰を隙間へと滑り込ませる。

 そして獣は穴の中天井裏にいる友達と戯れる。

 埃まみれ白衣を被った髑髏しゃれこうべに獣が頬擦りをする。

 拍子に白衣から職員IDが落ちる。

 そこには

 

 担任の突然の来訪にも部屋の空気感は何も変わらない。

 青年は敬意の欠片も見せることはなく、

 少女は何かに怯えるように接し、

 獣は本能に従っていた。

 いつも通りの風景―日常がそこにはある。

 まったく違う個性同士が混在する空間は不思議と居心地の良いもので、二人は知る由もない。この部屋にもう一人、同居人がいることに。

 

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