ユメ
とある日の風景だった
これは記憶から一番消したいモノだ
希が泣いている
目の前で、しゃくり上げながら、床にへたり込みながら
ーーー行っちゃやだよ・・・なんで?なんで?
説明しても、「そんなのヤだ」
俺はその日の出来事は一生、いや、死んで生まれ変わってもずっと残ったままだと思う
今思えばそのときの俺は、自分の“立場”だけで精一杯だったのだと思う
だから希のことまで“護る”ことまで考えられなかったんだと思う
でももう過去のことで・・・・でも後悔しかできなくて
それがずっと心に刻まれたままだから
悪夢になって、今になって現れた
ーーーもう、会えないんだ・・・希との時間、取れないんだよ・・・ごめん
希は首を横に振って俺の胸に縋りつくように泣きじゃくる
何を言ってるのかもわかんないくらいに泣いて
俺の心に爪を立てて引き裂いていく
ーーーなら、約束してほしいよ透お兄さん・・・・
顔を上げて、泣いて赤くなった瞳を向けて小ぶりで何度も口付けた唇を開く
ーーーまた、会えたら一緒に居てくれる?
俺は目を見開いた
少女は“どうしようもない立場の責任”に勝てない俺のせいだというのに俺を信じてくれている
俺はそれに驚きとどうしようもない情けなさで心が崩れそうになった
(どうして俺の人生をめちゃくちゃになっちゃうんだろう)
心が裂けた部分からどす黒い気持ちが這い上がってくるのを堪える
ーーーいつになるかわかんないけど・・・・会えたら、次はもっと一緒に居たい
俺は今まで以上に強い気持ちで希の小さな体を抱きしめた
切ないだけじゃなく。苦く痛く苦しくそれだけじゃなく憎悪が含まれた記憶が悪夢になって俺の前に現れて、目の前が真っ暗になった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ーーーーーーやっとみつけたよ透お兄さんーーーーーーー
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