第10話 夢からつながり戻り始める絆

「大丈夫かしら?」


夢から覚めたとき、ドッと疲れが出た・・・・

寝ていたはずなのに疲れが取れない、それ以上に疲れが出ている感じだ


(臭いが濃くなってるわね・・・いよいよやばいかしら)


絆は俺の手を握る

その手は、やさしさが伝わるとはこのことか、というくらいに暖かい


「ごめんなさいね未熟で。疲れを取るくらいしかできなくて・・・臭いだけじゃ原因が探れないの・・・」


絆は俯いた・・・。力を使ったからか耳と尻尾が出ていた

耳は垂れて、尻尾も力なくうな垂れて・・・・


「いや、大丈夫。もしかしたら・・・そろそろかもしれないから」


確信があったわけじゃない。

でももし、夢が何らかのサインならおそらく次の夢は俺の・・・苦い思い出だ

それで終わるはず・・・・

その後はアイツとの関係は切れてるから何もない・・・

そう、切れてるから・・・か・・・


「・・・本当に平気?」


覗き込む絆。

縋りたい・・・けど、男としてのプライドが許さない


「平気だよ。ごめんな心配かけて。とりあえず朝ごはん食べよう」


そういうと絆はまた俯いた


「今はもうお昼過ぎよ・・・・貴方、朝起こしにきてもおきなかったのよ。結なんて何度も揺すって、泣きそうな顔をして起こしてた。それでもおきなかったのよ」


「まじか・・・・」


「本当よ・・・」


どうにかならないのか・・・・

このままじゃおれ、夢から戻ってこれなくなるんじゃないのか?


「・・・・ちょっといいかしら」


と絆が俺を抱きしめた

肩が震えている・・・泣いてるんだ


「ごめんね・・・?神様の使いなんていいながら問題解決できないの・・・・許して・・・・」


神の使いで気配に気づきながらも一人の問題すら解決できない自分にジレンマを抱いてなく絆はただの女の子にしか見えない

そう、神の使いだろうが人外だろうが女の子は女の子なんだ


「大丈夫、大丈夫だから。泣かなくていい、俺は生きてるから」

「でも・・・でもっ・・・・」

「まったく・・・絆は結構泣き虫なんだな・・・・。でもわかるな・・・俺もできることがあったかも知れないのにどうしようもなくって泣きたくなったことあるから」


と、絆の頭を撫でながら優しく言った

俺のためにジレンマを抱いて、俺のために泣いてくれてる女の子

それがたまらなく愛おしく感じた


「大丈夫、大丈夫」

「うん・・・。信じてるから・・・・だから私もがんばるね?」

「あぁ、無理しなくてもいいからな?」

「神様の使いだもん・・・」

「わかってるよ。それより、しおらしくなるとかわいらしいしゃべり方になるんだな」

「っ////」


絆が俯いてぷるぷると震える

よほど恥ずかしかったようだ


「し、仕方ないじゃない・・・・。優しくするんだもん・・・これくらいしかたないの!」


立ち上がってそそくさと部屋から退散する

すると、起きたことを聞いたのか繕と結がかけて来て飛びついてくる


「よかったぁ!ほんとうによかったぁ!!」


結は抱きついて擦り寄ってくる


「そなたがそのまま起きなかったら無理やり主犯を探して喰ろうておるところじゃったぞ!!まったく心配しておったのだぞばか者ぉ・・・・」


繕は俺のパジャマの裾を握り締めて涙を浮かべる


ここまで心配されるのは何年ぶりなのか・・・


不謹慎かもしれないが凄く嬉しいのとなんだか照れるという感じだ


でも


次の夢は・・・・悪夢じゃないといいな・・・・


心底そう思った

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