第8話 帰宅

・・・・さん・・・


・・・きて・・・と・・・さん


「起きてください!!透さん!!」

「うわぁ!?」


懐かしい夢をみていてぼんやりした頭を朝から結の密着した大声でたたき起こされる


「ようやく起きたか透。早くしないと朝食がきてしまうぞ?」

「そうよ?というか朝、意外に弱いのね」


繕と絆がすでにいつでも旅館を出れるように準備していた


「それよりもぉ・・・」


結が顔を近づけてくる


のぞみって誰ですかぁ?」


っ!?

あぁ、寝言かぁ・・・・


「昔の知り合いだよ」

「・・・ほんとうですかぁ?」


目つきが鋭い結

でも俺はそれに動じない

むしろ本当のことだから動じるわけがない


「はぁ・・・まぁ、いいですけど・・・・でも、嘘だってわかるくらいの嘘はつかないでほしいですよぉ」


嘘・・・いや、嘘だよな

知り合い・・・になったのほうが正しいから


「すまん、ちょっとブルーになっちまった。布団片付けて朝食を食べよう」

「透、今日は帰るだけなのかの?我は帰り道も観光したいのじゃ」

「そうね、ただ帰るだけだとつまらないわ。明日も休みならここから徒歩で駅まで歩きましょ?私は見慣れているけど、貴方たちはそうじゃないでしょ」


そうだなぁ・・・ただ荷物がなぁ


「あ、荷物なら私がどうにかできるわよ?忘れたの?私は特別な存在なのよ?」

「なんじゃその勝ち誇った目は」


繕が絆を睨む

そんなこと意に介さずに絆は懐からお札を出す


「空間と空間の間に隙間を作ってこの荷物を入れておけばどこからでも出せるし仕舞えるわ」


神様の使いってすごい、俺はそう思いましたまる


「って、マジで何でもできるな。一週まわってもう感想がでねーよ」

「あら、褒めてくれるの?ならご褒美がほしいわ」

「ならこれあげるからおとなしくしててくださいねぇ~」


と、結はお茶をいれて差し出して荷物も絆の周りに置く


「さっさとその空間に仕舞っちゃってくださいよぉ~。それが出来るのは貴方しか居ないんですから」


結はてきぱきと部屋を整えて、布団もきっちり畳んでしまっていく

繕も結のやり切れてない部分を片していく


「すごいなぁ、あの二人は」


絆はぐぬぬ、という顔をして荷物を空間に仕舞っていく

なんていうか結>繕>絆の構図になってるような気がしてきた

それと、俺やることねー

と思いつつ結のいれたお茶を飲む


懐かしい夢だったな・・・

あの時は家族ともいろいろあって、いじめられて・・・

居場所もなかった・・・・

でもその居場所を作ってくれたのがあいつだったっけ・・・

今・・・元気にしてっかなぁ


そんなことを考えてると結たちがテーブルに着いた


「もうそろそろ朝食ですねぇ・・・」

「ここは朝食も絶品よ?」

「ほんとうですかぁ?レシピ覚えたいですねぇ」

「そうじゃのぉ。レシピさえ覚えられれば再現できるからの。特に結は家事が得意じゃからな」


仲がいいのか悪いのか・・・俺が絡むとこいつら凄いからなぁ・・・

平和が一番なのにな


そんなこんなの会話をしていると朝食がきてみんなで食べた

純和風の朝食で、みんなも気に入ったようだった

そんななか結は持ってきた人にレシピを聞いていた

結はもともとレトリーバーだ、そのコミュ力は凄い

買い物に行ったときも材料を手に店員なんかにおいしい調理法なんかをきいたりしている

繕はそれを聞きながら覚えるといった感じだ

絆はその二人を見てほほえましくみている


「絆は料理できるのか?」

「出来るわよ?特に和食は得意ね。中華と洋食は苦手だわ。中華は脂っこくて作りたくないし洋食は調理が面倒よ」

「そっか。というか洋食に関しては味云々じゃないのかw」

「絆はなんか料理をするイメージがないんじゃが」

「な!?失礼な」

「ですけど、確かにそうですねぇw」


そんな感じで朝食を終えて、旅館を出た。

これから家路に着くが、絆に案内されるがまま駅に着くまでいろんな場所を回ることになった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る