第6話 夏休みの旅行2

旅館にチェックインして荷物を置く

泊まる部屋は畳みの匂いでいっぱいで景色もいい。

それなりに高かったがこうして気持ちよく泊まれるのは凄くうれしい


「とりあえず夕食が来る前に露天風呂入るかぁ」

「そうじゃのぉ、結。一緒に入ろうかの」

「そうですねぇ、でも透さんが一人なのはちょっと悪いですけど」

「いいよ、ゆっくり入って疲れをとってくよ」


と、それぞれ分かれて温泉に入りに行く


「誰もいないのか・・・温泉を一人では入れるって結構いいな」


服を脱いで体を洗い、温泉へ浸かる

体の芯から温泉独特の暖かさが伝わってくる

周りの木々に囲まれながら景色を眺めて浸かる温泉は気持ちがいい


「あら、一人なのね・・・って当たり前よね」

「うぇっ!?」


後ろを振り返るとタオルを巻いたどこかで見た女性がいた


「ふふ、先ほど振りよね」

「絆さん、ここ男風呂なんですけど・・・?」

「知ってるわよ?私にはほとんど関係ないわ」


関係ない?どういうことだ?

俺はその姿を直視しないようにみないで話しかける

絆は温泉に浸かり、隣に腰をかける


「関係ないってどういうことだ?」

「今、これ張ってるから空間をずらしてるのよ」


さっと胸元からお札を出した。

は?アニメ?マンガ?と思ったがすでにそのアニメ?マンガ?見たいな奴らと暮らしてたわ

絆はおそらくそのお札を各所に貼って隔離したうえで空間をずらして見えないようにしたうえで実際の「ここ」と干渉しないようにしてるわけだ

だから実際のここには客が入ってるってことだな


「お前なにもんだよ・・・まさか本気で巫女で特殊能力があるわけじゃないよな。さすがにそこまでは・・・」

「あら、だって巫女じゃないもの。一応巫女の姿をとってるけどね」

「巫女じゃないって・・・まさかお前狐の変化!?」

「・・・・ちがうわよ。悪いけどもっと位の高い存在よ」


絆は立ち上がると狐耳と尻尾を出して笑う


「私は数多く存在する稲荷神社の主の一人よ。それと貴方と深いつながりのある存在よ」

「はぁ!?じゃぁ神様!?」

「厳密に言うと神様の使いね。分社の主だから。でも神に近いわね・・・いえ神に近くなった存在、かしらね」

「でもそんな存在と深いつながりって」

「職に就きたい、家族から離れたい、一人立ちしたい、恥ずかしい人間と一緒に居たくない・・・なにより自由になりたい・・・・だったかしら?」


それは俺が必至に願ってなんどもなんども神社にいって祈ったこと


「まさかあの時何か居るんじゃないかって思ったのは」

「私よ、荒んで荒れ果てた分社になんども訪れて・・・実は私はあの場から立ち去ろうとか神様なんてとか考えたのよ。でも貴方を見て変わったの。信仰の数よりも信仰する意思なんだって。だから貴方の周りにある悪い気を払って気の流れを良くして貴方をいい方向に導いたのよ」

「そっか、だから深い絆」

「そう。まさかこうして会うことが出来るとは思ってなかったけどね」


落ち着いたように浸かりなおして隣に座る

その表情は穏やかでうれしそうだった


「でも会えたってことは何かあるかもしれないってそう思って稲荷に話したの。そうしたら会って分るならすきなようにすればいいっていわれたのよ」

「んでまた会いにきたって訳なぁ・・・でもなぁ」

「大丈夫よ意味が分るまで一緒に居るから」


ん?なんかとんでもないことをいわれた気がする


「今、なんていった?」

「会えた理由が分るまで一緒に居るわよ」

「はぁ・・・!?まじかよ」

「だからよろしくお願いね?」


こうしてまた一緒に暮らす存在が増えた

しかも一人はここにいる神の使いだ

稲荷神の使いとかもうね、家どうなっちゃうんかね・・・・

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