第5話 夏休みの旅行

朝食を食べ終わって準備をして、出かけた先は古都


観光客は夏休みシーズンとあってものすごく混んでいる


「のう、そなた」「透さん」


古都の雰囲気に敏感に感じた二人が口を開いた


「ん?なんだ?」


「妖怪変化の我たちをなぜここに呼ぶんじゃ?ここは神聖な場所じゃろ?」


「そうですよ?さすがに私も困りますよぅ?」


と、言われて気づくが、たしかにそうだな。

だがこいつら悪さよりも人間とともに一緒に過ごすことが出来るんだからそんなことは関係ない


「二人は悪い妖怪ではないでしょ?ならいいじゃないか」


「まぁそうですけどねぇ・・・・」


「はぁ、とりあえず観光とやらをしようじゃないか。のぉ?そなた♪」


繕が透の腕に抱きつく、それを見た結がそれをみて反対側に回り抱きつく

周りの男性旅行者などに睨まれる

視線がいたいw


「繕さんが抱きつくなら私もいいですよねぇ?そもそもこっちのほうが良い思いさせられますけどぉ♪」


やめろ、抱きしめるな、腕を谷間に入れるな!押し付けるな


「あのなぁ、歩きづらいからなこれ。観光もままらないんだ」


「むぅ、すまぬ。」「わかりましたぁ・・・」


「さて、とりあえずまわろっか」


「透さんがいつも行く場所がみていみたいですねぇ」


「そうじゃのぉ、どうせ見たこともない場所じゃ、透がいつもまわってる場所がよいのぉ」


と、言われていつもの神社へ向かうことにした

軽く神社の説明した

その神社は稲荷系列の総本山だ


「コンビニ寄るから結、繕も飲み物買っとけよ?結構きっついから」

「わかりましたぁ」「わかったのじゃ」





「すごいのぉ・・・・山が神社になっとるのか」


「うん・・・すごいです。しかもところどころ変化の方々もいらっしゃいます」


と、境内に入ったところで二人が驚いていた

そりゃそうだろう、はじめて来たときは俺だって写真でみるより実際にきたら圧倒されたくらい空気も雰囲気もすごいとしかいえなかった


「さてと、上るぞ。そこのいっぱい並んでる鳥居から周ってこうか」


「本当に山を登る=参拝って感じなんですねぇ・・・・」


「狐も神格化するんじゃのぉ・・・ここの周りにいる狐はみな人になれるほどの妖力をもっとるぞ」


「そうなのか?なら出会えるかねぇ・・・狐娘に・・・・ってあれ?結?」


歩き始め、ならぶ鳥居をとおり始めて中間に入り、そこから結の姿が見えない

と、思ったら繕が前を指差していた

いた、結がいた、だがそこにいるのはしゃがんでめちゃくちゃ猫を撫で回す犬娘だ


「ちょw尻尾と耳が出てる!!結!!」


「猫可愛いですねぇ♪かわいいは正義ですよぉ♪」


「だめじゃのぉ、猫の魅力にやられておる・・・」


「結、置いてくぞ。ここでおいてったら帰れずに会えなくなるだけだからいいか」


「は!?ごめんなさい!それだけは勘弁してくださぁい」


耳と尻尾を仕舞い、俺に抱きつくが、猫を通り過ぎるのを結はなんだか名残惜しそうにしていた

まぁ、猫は可愛いからな・・・よく分かる


「でも本当にすごいのぉ・・・ただ上っていくにつれて古くなっているようにも見える・・・・参拝客が少ないからかのぉ」


「かもなぁ・・・お・・・珍しい・・・中腹に巫女さん・・・?」


「テレビでしか見たことないですよねぇ・・・」


「ほぉ・・・あれは本物の巫女じゃ・・・・少しばかり力を感じるぞ」


そこにはしゃがんで狐を撫でて油揚げを与えてる巫女さんがいた


「あら、ここまでお客さんが来るのは珍しいわね・・・全部周るつもりかしら?」


と、巫女さんが声をかけて来た


背が少し低いが長い黒髪に巫女服、だけどなぜか懐かしく感じる雰囲気というか感覚を覚えた


「・・・ふぅん・・・そっか・・・」


すこし巫女さんは微笑んだ


「犬と蜘蛛・・・ね。でも二人ともこの人に縁があるのね・・・・心配ないわね。それに・・・・いや、これはいいわね」


「「!?」」


「わかるんですか?」


「当たり前じゃない。でもこっちとしても善悪の分別があるから別に何もしないわ。よければ参拝、付き合ってもいいかしら」


と、巫女さんは隣に立つ


「む、そこは我の場所じゃ!」


「違う、それも間違ってますよぉ。この人の隣は私の場所ですよぉ」


「また始まった・・・すみませんね・・・えっと」


「私は絆、一応ここの巫女よ。それにしても愛されてるのね」


「まぁ、そうですね・・・あはは」


「当たり前ですよぉ・・・あんなにずっと一緒にいたんですから」


「まぁ、我も小さいころ一緒にいる機会が多かったからのぉ」


と二人が懐かしむように口を開く


よく考えてみたらこの二人とは俺が小さいころに一緒にいて、今の今までそばにいなかったのに忘れずに人の姿になって会いにきてくれたんだよな

繋がりを大切にした結果なのかね・・・


「ふふふ・・・繋がりを大切にしてる人なのね」


「まぁ、そうですね。裏切られることもありますけど」


と苦笑しながら一番上まで歩き、お賽銭を入れ、祈る

というよりお礼をする

この二人に会えたこともそうだし、ここまで無事に過ごせたこともそうだ

いろいろなことにお礼をする

ちらっと横目をやると二人もきっちりお賽銭を入れてお祈りをしていた


「ありがとうございます」


「え、あぁ。お稲荷様には結構お世話になってるので」


「それでもありがたいわよ。参拝があってこその信仰で、信仰があっての神や仏だもの」


とニコッと笑う

やっぱりなんだか懐かしい感じがする

それに・・・どこかであったような

でも気のせいだろう。感じがするってだけで名前すら知らなかったんだから


「さて、下って帰るとしますか。二人はどうだった?」


「空気がおいしくてまた来たくなりますよぉ。賑やか過ぎるのが落ち着きませんけど」


「そうじゃのぉ。ここはとてもよいところじゃ」


と二人は満足したようでよかった

巫女さんの絆さんも二人が満足したことがうれしかったようで微笑んでいた


「二人にはこれを、妖怪変化にも害はないお守りよ。これさえあれば何があっても大丈夫よ」


とお守りを手渡していた。神社の名前が入った赤いお守りだ


「貴方にはこれを」


俺には金と白の模様が入ったお守りだ

肌触りもかなりいい


「お布施はいらないわよ?私の手作りだから。その代わり片時も離さないでほしいわ」


俺たちはお礼を言って山を降り、本殿にもお賽銭を入れ参拝して近くの旅館にチェックインした

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