第4片 夢をゆめゆめ忘れるな




夜が更けて、頭はゆるゆる痺れて

月がのぼって、日はくるりと返って

ぼろぼろの枕の脇を、小人がサササと駆けぬけた


やさしいまどろみが迫りきて

目を閉じれば安寧の闇、波、海

大波、小波、津波、ざぱぱぱーん

誰かがそっと耳もとに囁く

夢を見よ、夢を追え、夢を忘れるなと


ああ、かつて夢見たものは何だったのか

眠りの淵の忘却のかなた


ああ、むかし夢で追ったのは誰だったのか

眠りの森を小人と走り抜けたのに


ああ、今も夢を忘れたくなかったのに

眠りから覚めたら、何もかもが元のとおりで

冷たい朝がしごく優雅にほほえんでいる


ぼくはあえぐように息を吸って

カラカラになった喉につばを落として

忘れじと誓った夜の幻影かげに取りすがるけど

海はすでに光りに満ち、黄金のきらめきをたたえている


夢をゆめゆめ忘れるな

大波、小波、津波、ざぱぱぱーん

寄せて返すものは

大波、小波、津波、ざぱぱぱーん

ぼくの真実ほんとうにぱっくり呑みこまれて

泡沫うたかたのごとく消えてしまった、夢、ゆらり、ゆるり


ほのかににじむ闇色のときめき

大波、小波、津波、ざぱぱぱーん

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