4ヶ国戦争と竜星杯の幻想

ルーヴィアリーナ

第1話【強大なる国々】

マルチユニヴァースの中の1つ、【ドラグニア】。

この世界の大陸には、4大勢力が存在する。

木々に囲まれ、のんびりとした雰囲気が漂うルーリア、

一年の半分は国土が雪に閉ざされ、極寒の世界と化すリヴェンシル、

熱帯気候で、巨大すぎる果物が有名なサズヴァーナ、

4国の中で最も技術力が高く、機械の国ともいわれるソフィア。


実に特色のある各国の王が、今共通して欲しがるものがある。

それは、大陸の中央を天まで貫かんばかりにそびえたつ塔【真天楼まてんろう】の天辺にあるといわれる、【竜星杯】という聖杯。

太古から伝わる伝承によると、竜星杯をものは、上手く扱えることができれば絶大なる力を手に入れられる。

但し、部屋には番人がいて、その番人に認められなければ杯のある部屋に入ることすらできない。

入ることができても、僅かなりとも邪念を抱いて触れようものなら一瞬で魂を焼かれる、とある。

まあ…各国の王や貴族たちの思考には多分邪念しか存在していないのだろうが。

     *          ♰        *

ルーリアの郊外、ソフィアとの国境線近くの草原、リンドウ平原。

背の低い灌木以外には草しか見当たらないだだっぴろい草原を、真っ直ぐ貫く黒曜石のタイルが敷き詰められた街道。

コツ、コツと硬い音を響かせてそのうえを歩くのは、4ヶ国のどこにも属さぬ流浪の剣士、カイル。

黒髪赤目に黒革に銀の刺繍がされたロングコート、背中には美しい装飾があしらわれたウィングコールと言われる《天翼》。

腰に佩いているのは、古代級エンシェントクラスの覇双、【朧月おぼろづき】。黒塗りの鞘に精緻な彫刻が施された、見た瞬間に古代級だと認識できる一品である。

「………………………困ったなあ…………、4ヶ国の王様&貴族方は竜星杯を手に入れたいが、伝承が真実だったら自分たちで入手なぞ永久に不可能だろう。

なんせあの方々の頭の中は伝承でいう「邪念」だらけだろうし」


彼が向かうのは、中立の街とも呼ばれるスィンガーナ。草原に出る低級モンスターを魔術スキルで狙い撃ちしながら歩き進めていく。

                  ♰

その後、4ヶ国では大事件とも呼べるようなことが起こるのだが、それはまた今度お話ししましょう。



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