ある美術部員の憂鬱
因幡寧
第1話
私は、現在進行形で劣等感にさいなまれている。目の前にあるキャンバスは、カラフルではないのに確かな力が感じられて、私には到底届かないのだと強制的に理解させられる。
「……はあ」
ため息も出てしまう。夕日が差し込む美術室はシンナーのようなにおいで満ち溢れて、外のパンザマストからは六時を示す音楽が流れていた。
「帰ろう」
独り言をつぶやくのは、そうしないと足が動く気がしないからだ。少し離れたところには私の真っ白に近いキャンバスがある。何の考えもなく遠慮がちに描かれたそれは、まるで今の私を鏡に映しているみたいだ。
白い布をイーゼルに乗せたままのキャンバスにかける。勝手に見てしまったことが少しだけ罪悪感になって私に降り注いでいて、それをごまかすために手早く帰り支度をした。
美術室から望むリノリウムの廊下はどこか冷たい感じがした。どうして誰もいない廊下はこんなに寂しげなのだろうと世界を恨んで、どこまでも明るくなれない自分に嫌気がさしていた。
翌日も、私は白いキャンバスの前に座っている。がやがやとした空気の中で美術部員がおのおのの場所で絵を描いていて、少し遠くの方に私が昨日見た絵を描いた男子がいる。
どこにでもいる普通の男子だ。特にこれといった特徴があるわけじゃない。少しだけ顔はいいかもしれないけど、それも所詮普通の枠組みの中での話だ。イケメンとは程遠い。
それでも、あの絵は彼が描いたのだ。あの力強く、確かな熱を感じるあれはあの子が描いた。
そのことがなんだか心にへばりついていて、そこからじわじわと私の心をむしばんでいた。
「お? 全く進んでねえなあ」
先生だ。手元に影が差して、それで先生が後ろにいることを意識する。見なくてもわかる。きっと今先生は豪快に笑っているのだろう。女性でありながら男勝りなこの先生はいつもそういう風に笑っている。これで絵は誰もが憧れるくらいうまくて、みんなから尊敬されているのだ。よくある天才タイプとは違ってこの先生は教えるのもうまくて、大勢の人から慕われてもいた。でも、独身らしい。
「もうコンテストまで時間ねえぞ?」
「はい。わかってるんですけど、なんにも浮かばなくて」
丸椅子の上でくるりと回転して先生の方を向く。やっぱり先生は笑っていた。
「うーん。私ができるのは技術面のアドバイスくらいだからなあ」
先生はそう言いながらも頭をひねって考えてくれている。きっとそれがこの先生が慕われる理由なんだろう。
ただただ一生懸命に。間違えたときのことなんて考えないで生徒に言葉を投げかける。少なくとも私からはそう見えて、まっすぐな先生を見ているとどうすればそんな大人になれるのか、そんなに社会はやさしかっただろうかと疑問に思う。どうしてこんなにいい人なのに結婚できないのだろう。
――なんて、私が思うのはきっとおこがましいけれど。
「あー、やっぱだめだ。なんもいえねえや。ただ、無理はすんなよ。頑張れとは言わんからさ」
ポンポンと頭を軽くたたいて、先生は去っていく。
私はそのやさしさに何とも言えない苦さを感じた。
頑張っているのに頑張れと言われているような、やるべきことをやろうとしたときに早くやれと親からおこられた時みたいな、それらに限りなく近くて、でも決定的に違う何かを感じた。
刻一刻と時間は迫り、ついに今日も部活の終わりがやってくる。うちの美術部は先生の方針で他の部活動より早めの時間に終わる。それから先は自由だ。帰ってもいいし、残ってもいい。昨日は偶然みんなが帰って私だけになったけれど、いつもは今日みたいに半分は残る。
よりいっそうがやがやとした雰囲気の中で、一人また一人と美術室から出ていく。半分の人数になった美術室は当然ある程度静かになって、なぜか話し声はひそひそ話へと移行していく。このころになると先生はふらっとどこかへ消えてしまう。それなのに先生がいたときよりむしろ静かになるのはなんでなのだろう。
「じゃあね」
どこからか小さい声が聞こえて顔をあげると、一人が教室から出ていく瞬間だった。こうしてまた一人帰っていく。時間がたつにつれて残っていた半分も少なくなっていき、いつものように私と、あの絵の男子だけが残った。
互いに遠く、教室の端でキャンバスに向かっている。細かいところを直しているのか、横目で見ると彼はまだキャンバスに向かって手を動かしていた。
対して私はどうだ。ほとんどが白いキャンバスは作品とは到底言えない。未完成であるのに、私は少しも手を動かすことができない。
私はいつの間にか唇をかんでいた。悔しいのか。いや、そうじゃない。うらやましいのだ。彼の手は何の迷いもなく動いている。そんな事実がうらやましいのだ。
私と同じ学年で、入部してすぐのころは彼はデッサンもできないありさまだった。それなのに今では私なんてとうに追い抜いて、あんなすごい作品を作り上げて。
――才能。
そんな言葉が脳裏をかすめた。それはずいぶんとしっくりきてしまった。私にはなくて、彼にはある。だから、ここまでの差がついたのだと。
私はそう思うと気が楽になった。
才能だ。なら仕方ない。エジソンだって言っているじゃないか。1パーセントのひらめきと99パーセントの努力だって。
99パーセントの努力をしたって1パーセントのひらめきがなきゃ何にもならないじゃないか。きっとそのひらめきとやらが才能ってやつだ。
そう思えたことでさっきまでの感情が嘘みたいに消え失せていた。チクリと刺さる何かを意図的に無視して立ち上がる。
私は無言で片付けて、無言で美術室から出た。
リノリウムの床を打ち鳴らす。外からは野球部の声が聞こえていた。その中を軽い私の足音が響いていく。いつもより大きいその音は、わたしが無理に強く踏み出しているからに違いなかった。
それからの私は部活が終わるとすぐに帰った。先に帰る半分に交じってそそくさと美術室から離れた。
残る半分には彼がまだいたから、きっと彼はいつものように最終下校時刻ぎりぎりまで絵に向き合っているのだろう。
私の白いキャンバスは目が痛くなるほどの鮮やかな色で塗りたくって先生に提出した。
先生のチェックがあってアドバイスをもらった後、それをコンテストに出品するつもりだ。いい結果になるとは思っていない。けれどまあ、完成したのだからいいのだ。未完成よりかは絶対にいい。
そんな毎日を送って、先生に作品を提出した翌日のことだった。
「……ちょっといいか」
朝、先生に呼び止められた。先生が部活の時以外に私に話しかけるのは珍しくて、私は首をかしげていた。
「今日の放課後だが、少し残っていてくれないか。絵について話さなきゃならんことがあるんだがちょっと用事があってな」
用事があるなら今日でじゃなくてもいいのに。そう思ったからそのままの内容を口にした。
「ん、あー、いやな、ちょっと今日話したいことがあるんだよ」
先生はそれだけ言うとじゃ、よろしくと素早く離れていってしまった。
私は呆然と立ち尽くして、断らなかった自分が悪いのだと今日は最後まで残る決意をした。
その日の授業はなんだかいつもより長く感じた。
美術室に入ると、いつものメンツが思い思いの場所でだべっていた。私もいつもの場所に座る。
絵は提出してから帰ってきていない。だからやることは特にないのだ。こんな時は普段なら適当な紙に絵を描いていたけど、今はそんな気分ではなかった。
それでも紙は出しておく。ここは美術部であることに変わりはなく、ポーズだけでも取っておかないと居心地が悪い。
そうして意味のない線を描いては消して、書いては消してを幾度と繰り返し、紙が何回もの消しゴムの襲撃にくたびれた頃、部活が終わった。
いつも通り、半分ほどが姿を消す。なんとなく見やったその中の一人に、私は目を見張った。
あの絵を描いた男子がその日は残らなかったのだ。見ると彼のキャンバスは布が掛けられ端の方に移動している。私が絵を盗み見た日は休んでいただけだから、彼が先に帰るのを見るのはおそらく今日が初めてだ。
私は、考える前に理解した。
おそらく、最終的に私はこの美術室で一人になるだろう。いつも最後まで残るのは私と彼だけだったのだ。彼が帰った今、その未来は確定したようなものだった。
けれど、これはいいことだったのかもしれない。私は何というか、あの男子と今この美術室で二人きりになることに耐えられるような気がしなかったからだ。
その理由は、うまく言葉にすることができなかった。ただ、あまりいい理由ではないような気がしていた。
時間は進み、いつものように人数が減っていく。ただでさえ静かな美術室はさらに静かになって、そしてついに最後の二人組が帰った。
その二人と入れ替わりで先生が美術室に入ってきた。見計らったようなタイミングだった。いや、本当に見計らったのかもしれない。
私が一人になる瞬間を作り出すために先生は私にこの時間まで残るように言ったのだ。そんな確信がどこかにあった。
もしそうだとしたらあの男子が帰ったのも先生の差し金なのか。そんなことを考えていると、先生が声をかけてきた。
「おお、またせてごめんな」
警戒していたことが馬鹿らしくなるような、いつも通りの声だった。
「わかってるだろうけど、絵のことで少し話したいことがあってな」
顔を見ることができなかった。空気が重くなるのを感じた。先生の足が下を向く視界の中に入ってきていた。
私は強く身構えていたのだ。強烈な後ろめたさが私を襲っていた。何も悪いことはしていない。そう思うのに、警戒しないではいられなかった。
先生は私の前から離れて適当な場所にある椅子を引きずってきた。私の前にその椅子を配置する。真正面に置かれたそれを私はのけたくてしょうがなかった。でも、そんなことはできるはずがない。
先生は、私の目の前に座った。
「お前は、あの絵をどんな気持ちで描いたんだ?」
静かな美術室に、重い重い一粒が落ちた。
答えることはできなかった。私はあの絵に何の感情も込めなかった。ただ形だけ整えたのだ。そこに伝えたい想いなどなかった。
「べつに怒りたいわけじゃねえんだ」
嘘だ。そう思った。
「絵に何の感情も込めねえ奴なんてごまんといる。私が問題だと感じたのは、それが変化だったからだ。お前は前までちゃんと気持ちを込めて描いてた。それは私がよく知ってるつもりだ」
頭の上から言葉が何度も降ってきた。変わってしまったのは私が一番分かっていた。それも良い方にではなく、悪い方に変わっているのだと理解していた。
私はそれを見ないようにしていただけだ。
「どうして変わっちまったんだ?」
でも、その言葉に、少しだけ頭に来てしまった。真っ白になったのだ。そこからはもう、思ったことすべてが何の障害もなく外に出て言った。
「何がわかるんですか……」
言うべきではなかった。いいたくなんてなかった。この諦観は自分の内だけにとどめるべきものだった。
「先生に何がわかるんですか……!」
間違っていると知っていたから。取るべき選択ではないとわかっていたから。だからこそ、内にとどめていたものだったのだから。
……でも、一度あふれ出してしまえば、それを止めるすべは私にはなかった。
劣等感を語った。あこがれを、嫉妬を語った。その末にあきらめたことを語った。
最後に、あなたにはわからないと突き放した。
最終下校時刻を示す音楽が、夕方の学校に響いていた。
……すべてのことを吐き出して、絵の具のにおいが満ちるこの場所に再びの静寂が訪れたとき、私はもう、泣き出してしまっていた。
子供みたいだ。そう、心の冷めた部分が言う。
先生は、まだ私の前にいた。私がしゃべりだしたとき、最初こそ戸惑っていた先生だったが、すぐに私の言葉を聞く態勢へと移っていた。さすが先生だ。そんなことを思ってしまう自分もいた。
「……ごめんなさい、すいません」
私は考える前にそうこぼしていた。あふれ出る涙をぬぐいながら、ようやく落ち着きを取り戻した私を、今やったことへの後悔が襲っていた。先生はそれに何も答えず、ただ私の前に居続けた。
「――たぶん、お前は間違ってねえと思うよ」
唐突に先生はそうつぶやいた。驚いた私は顔をあげ、先生の顔を見る。その顔は今まで見てきたようなあの豪快な笑顔ではなかった。
ゆがめた顔は辛そうだった。苦虫をかみしめたような、そんな顔をしていたのだ。
「確かに、才能は決定的だ。私だってそれを実感したことがないわけじゃない。たいていの人間はおそらく諦めながら生きてんだよ。だからお前が諦めたのは別に間違ってなんかいない」
意外だった。否定されると思っていた。それなのに、私のあり方を先生は肯定していた。
「私だっていっぱい諦めたさ。私はもっと上に行きたかった。でも、それだけの力はなかったんだよ。最初っから先生になりたかったわけじゃあねえんだ。……でも、今はこれでよかったって思ってる。先生も悪くねえってそう思ってる。世の中全部結果論なんだよ。最後が悪ければ人はそれを笑うし、最後がよければ人はそれを称える。私は少なくとも今を後悔なんざしてねえのさ」
先生はなおも苦しそうな顔をしていた。言葉とは真逆だった。だから私はそれを信じることはできなかった。
沈黙がそのあとに広がる。やがて、先生は笑った。誰も何も言わない時間が、数分続いた後だった。
「ははっ、すまん。嘘だよ。後悔してないわけがねえ。私はあきらめたことを後悔してないわけじゃねえ。そうじゃなきゃ覚えてもいねえはずなんだ。人間どうでもいいことは忘れちまうはずなのに、私はまだ、上に行きたい気持ちを忘れちゃいねえ。ただ、戻れなくなっちまってるだけなんだよ」
先生の顔はいつもの顔に戻っていた。きっと、嘘をやめたからだと思った。私は今度の言葉は信じることができていた。
「きっと生徒に話すことじゃあねえんだろうな。なんでこんなこと話してんのか私にもわかんねえや。もしかしたら、お前に重ねちまったのかもしねえな」
私は、ただじっと見ていた。その一挙手一投足を見逃さないように。私の未来を見ているような、そんな気がしたから。
「諦めを否定するわけじゃない。けど、私はきっとあきらめないでほしいんだよ。お前には私みたいになってほしくねえんだ。それが私にとって何の救いになるかわかんねえけど、そう思っちまってるんだよ。だから、私は今からお前を説得する。しかと聞けよ? これはうそ偽りない真実だから」
異様な空気だったように思う。乾いた笑いだけが先生から漏れ出ていた。ぐちゃぐちゃに混ぜた絵の具を、混ざりきらぬままにバレットに広げた。そんな空気だったように思う。
「お前はこの絵を描いたのが才能のあるやつだといったな」
先生はそう言いながら端に置いてあった絵をイーゼルごと持ってくる。そして私に見せるようにして、かかっている布を取り払った。
あらわになる、熱のこもった絵。それは私にはまぶしく見える。
「だって、そうじゃないですか。最初はデッサンもできなかったのに、今ではそんな絵をかいてるんですよ?」
その急成長を才能以外の何だというのか。
先生は、そんな私の疑問をたった一言で説明した。
「これは、純然たる努力の結晶だよ」
努力。誰でもいえるようなありきたりな言葉だった。でも、才能以外で成長することのできる唯一の存在だった。
思わず叫ぶ。
「そんなわけない!」
「そんなわけがあるんだよ。あいつは、だれよりも努力していた。ただ単純にその姿を他人に見せることを嫌っていただけだ」
その可能性を除外していたのはほかならぬ私だった。
「けど、私だって努力していた! 私だって努力していました!」
先生は叫ぶ私を真っ向から見つめた。そして問いかける。
「それは、何かを捨てた努力だったか? あいつは割と何でも捨ててたよ。勉強まで捨てられるのは教師として困るところではあるが、どうやらあいつはそれも捨ててたみたいだ」
私は何も言えなくなっていた。もし先生の言ってることが本当なら、私の努力は彼に勝っているとは言えないだろう。そう思ってしまっていた。
「あいつは天才でもなんでもねえ。結局なにも捨てられないでいられるのは一握りの才能のあるやつだけなんだよ。一般人が何かを成し遂げるには何かを捨てるしかねえ。あいつはそれを実行しているに過ぎないんだよ」
先生は絵に布を掛ける。絵は見えなくなり、先生は絵を元の位置に戻した。
「あいつは元サッカー部らしい。そん時に才能に打ち負けたんだとよ。それで今度は才能に負けないぐらい努力するって決めたそうだ。あいつは、才能と戦う覚悟があるんだよ」
才能と戦う覚悟。その言葉が杭となって心臓に突き刺さった。
かなわないと思った。現状を当然の結果だと思っている自分がいた。私には、何かを犠牲にしてでも頑張れる気はしなかった。
先生は説得と言っていたけど、こんなのは追い打ちだ。私はきっともう、絵を描くことはできないだろう。
「何が言いたいんですか……」
だから私はそう言った。先生がこれを説得と言ったわけが知りたかった。
先生は、いつもよりずっと乾いた笑い方をしていた。
「いいたいことなんてねえさ。これは真実だ。お前は才能に負けたんじゃない。お前は努力に負けたんだ」
それは罵倒だった。完膚なきまでに私にとどめを刺していく。
けれど、不思議と涙があふれることはなかった。耐えがたい感情だけが心の奥から湧き出ていた。
「言ったよな。才能は絶対的で、きっとみんな諦めながら生きてる。でもそれは、最終到達地点だ。お前はまだ、そこに至っちゃいない」
「だから、まだあきらめるなって言いたいんですか……!」
「そうだ。お前にはその理由がある。お前にはその理由があるはずなんだよ。だって――」
先生は私の頭をやさしくなでていた。何処までも唐突で、よくわからない行動だったけど、それでも確かに、温かい何かを私に落とし込んでいく。
「――だって、絵が好きだろう? お前は」
……それこそが真実なのだ。変えようのない真実なのだ。私はそれを聞いて、ようやっと納得できたことがあった。
今、涙が出ないわけを。あきらめてからこれまで、ずっと心の中に渦巻いていたそれを。
――きっとそれは悔しいって感情なのだと。
私は、ようやくその時に、理解することができたのだと思う。
あの美術室の一件が終わり、何が変わったかと言えば、きっと何も変わっていない。
いつも通り、私とあの男子は最後まで美術室に残っている。そんな現実があるだけだ。
絵は、いつの間にか描けるようになっていた。何かを作るときに大切なのは、何よりも燃料なのだろう。私はそれを持っていたのに、それを自覚していなかったから、それを使うことができなかった。
たった、それだけのことらしかった。
イーゼルの上には私が書き上げた絵が乗っている。決して明るい絵ではない。それでも、確かにそこに意味はある。筆に乗せて描く理由がある。きっといつかは本当にあきらめるときがくると、私は心からそう思っているけど、今は、違うのだから。
その時にどうするかなんて、私には少しもわからない。もしその時に諦観を抱かずにいられたのなら。私にはおそらく才能ってやつがあるのだ。
才能なんて結局はやり切った後にしかわからないのだなと、そんなことを思いながら。私は、出来上がった絵を満足げに眺めた。
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