悲劇と喜劇の1日 ⑥

「…皆、僕は…どうなったの?」


目を覚まして5分、ジェイソンがぽつりと呟いた。


「…ジェイソン、昨日、意識失ってたのよ!」


マーサが明るく笑ってそう言った。


「…昨日?そういえば途中から記憶無いな…」


ジェイソンは左手でポリポリと頭を掻いた。


「お前、テレビを見たまま意識失ってたんだぜ?」


チャドが笑いながら言う。


「なんか…その、皆…ごめん…」


ジェイソンが静かに謝れば、皆笑って大丈夫!って許していた。


「意識失う前、どんな感じだったの?」


テイラーが不思議そうに尋ねると、ジェイソンは思い出しながら話した。


「…確か、検査がお昼からで、絶対安静って言われて暇だったからテレビを見てたんだ」


「そしたら、段々お腹が痛くなって…苦しくなって…」


「ナースコールを押そうにも、その時には動けないぐらい痛くて」


「…そっからは、覚えてないや…ごめん」


「…ただ、僕はこのまま死ぬのかな、って思ったような気はするよ」


話終わると、悲しげな顔になるジェイソン。


「ごめん…辛い事思い出させちゃって」


テイラーは涙目になっていた。


その日はそれぞれが多少会話して解散になった。


ジェイソンに無理をさせない為に。

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