悲劇と喜劇の1日 ③

次の日の学校、トロイ達のクラスはざわついていた。


ダーバス先生が教室に入ってきても騒ぎは収まらなかった。


ダーバス先生が怒って、やっと静かになり、皆が席に座った。


「えー、今日はお知らせがあります。」


トロイはジェイソンの事か、と仲間に目配せした。


チャドは表情で「多分な」と返していた。


「Mr. Jason Crros はバスケの試合中の不慮の事故により、病院で静養中です」


“不慮の事故”


その言葉に、チャドが机を勢いよく叩いて立ち上がった。


「あれは断じて不慮の事故なんかじゃねえ!」


「狙いやがったんだ、ジェイソンをな!」


怒りから叫ぶチャドをトロイ達がどうにかなだめて座らせた。


その日の授業は皆が上の空だった。


真面目なテイラーでさえ、授業に集中していなかった。


授業を終えると、飛び出すように病院へ。


病室に着けば、目を覚ましたジェイソンが医師と会話していた。


そして、医師が去るとチャドか病室に入っていった。


「ジェイソン!」


チャドが大声で呼べば、ジェイソンはふにゃりと笑った。


「やぁ、チャド!…トロイ、ジークも」


相変わらずのマイペースで話す。

ワイルドキャッツで話す中、ジークの後ろに誰かが居るのに気がついた。


「ケルシー?」


ジェイソンが呼べば、ケルシーはジークを力一杯押して退かしていた。


そして、その後ろからガブリエラ、テイラー、マーサが入って来た。


「やぁ、女子達もお揃いだったんだ」


ジェイソンは笑いながら、女子達を見た。


「ジェイソン、医師と何を話していたの?」


テイラーが尋ねると、ジェイソンが少し悲しげな顔をしたように見えた。


「ん〜…医師が言うには、腹膜が傷ついてるから、明日手術だって」


皆が驚き、顔を見合わせた。


「大丈夫!ジェイソンなら手術だって上手くいくわよ!」


ガブリエラが明るく振る舞い、メンバーが笑った。


「…トロイ、試合に出れなくなって…ごめん」


ジェイソンが静かに呟けば、トロイは大丈夫、ワイルドキャッツにはいつもジェイソンがいるからね!って笑う。


「明日は休みだし、朝から病室に来てやるよ!」


なんてジークが言えば、皆が笑って。


「流石に朝からは駄目なんじゃないかしら!」


マーサが明るくツッコむと、また笑いが起きる。


その日は解散し、明日は病院に集合することと相成った。

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