ナイパカ

 ナイパカを見つけた。

 明るい日差しの下、小川のほとりにもこもことした白いかたまりが座っている。

 あれはねー、ないぱかって言うんだよー。

 手をつないだ娘がたどたどしく教えてくれる。ほいくえんでねー、いっぱいみたよー。

 やたらと語尾をのばすのが流行で、娘は何かを口ずさみながら、小川を見下ろす。

 白いかたまりは、アルパカのようなシルエットだ。けれど顔がない。手足もない。しっぽのところに、桜色のリボンが、ちょこんと結ばれている。

 ないぱかはねー、およげるんだよー。りっちゃんはねー、およげないのにねー。

 小川のほとりを歩きながら、行き過ぎる。振り向くと、誰かがナイパカにさわっている。

 さわってもいいのか。

 引き返そうと思ったが、ナイパカにさわった人が、もこもことした毛の内部に吸い込まれていったので、やめておいた。

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