第4話
目が覚めた。身体のあちこちが痛い。目醒めは最悪だった。これ、べッドじゃなくて床で寝てたっぽいな。硬いし、体が痛いのも頷ける。
昨日はいろいろあったが、最終的には何もなかったのでよしとしておこう。深く考えるのをやめて、忘れることにした。下手な考え休むに似たりとか言ったな。気にしても疲れるだけだし、放置してしまおう。正直、武力的にも、権力的にもこっちが弱者なのだ。なるようにしかならんだろ。そんなことより、今はこれからのことを考えねばならない。
今日は久々の休み、しかもアンドリューの話では、西南地方に遠征に出ていたキャラバンが帰還してくる予定である。珍しい食材や料理の話を聞きに行こうと思っていた。アンドリューとは、学生時代からの友人だ。頭のいいやつで、今は城で働いている。酒の席とかでこういう情報をぽろっと流してくれるいいやつなんだ。
内心、今日の休みを楽しみにしてた。してたんだよ。だって、未知の食材と料理の話だぞ。料理人なら疼くだろ。ワクワクするのは、当然じゃねえか!
もう一度言うぞ、ホントに楽しみにしてたんだ。
「はあぁ……」
ため息しか出ない。
いい加減、現実と向き合おう。
仕方がない、状況確認だ。
石畳の床と天井、壁、壁、壁、最後に鉄格子。
「なんでやねん」
まさか、この俺が、あの有名な『カンサイ弁』を使うことになろうとは。どうしてこうなった? 決して、犯罪なんぞには手を染めるようなことなく生きてきた。学園の食堂で働くしがない料理人だぞ。
誰か説明をしてくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます