夜の悲鳴・2

8年前 ーー 12月18日、その日は魔夜の10才の誕生日で、外はかなりの豪雨だった……。


「ママァー、ケーキまだぁ⁉︎」


「もう少しだから待ちなさい」


誕生日で浮かれる魔夜に待つよう言いながら微笑む母。


「ケーキ、ケーキ!」


「今日は何のケーキ⁉︎」


「今日は魔夜の誕生日だぞ。ケーキを食べる日じゃないからな」


「「ハーイ!」」


白夜と極夜はケーキにしか興味がなく、それを注意する父。

この時、俺は9才で極夜は8才。誕生日を祝うことがどういうものかよくわかっていなかったが、まぁ子供だからな。それはしょうがない。


「はい、ケーキ持ってきたわよ」


「「「ワァァー‼︎」」」


テーブルの上に置かれたケーキにテンションが上がる3兄弟。


「それじゃあ、魔夜はケーキの前に来て」


「ハーイ!」


魔夜がケーキの前に行く。ケーキにロウソクをさして火をつける。


「準備はいいわね?せ〜のっ」


母さんの掛け声で歌を歌う。


Happy birthday to you

Happy birthday to you

Happy birthday ,dear マーヤー

Happy birthday to you


「魔夜、火を消していいわよ」


「スゥ、フゥゥゥ〜‼︎」


パチパチパチパチ!


ケーキの火を消した魔夜に拍手を送る白夜達。

それからケーキを切って、誰がどのケーキを食べるかでジャンケンをしていた時だ…。

悪夢が始まったのは…………。


ドンッドンッ


「こんな時間に誰かしら?」


今は夜の11時くらいで、誰かが来るような時間帯ではなかった。


「ちょっと出てくる」


父さんはそう言うと玄関に向かっていった。


「ねぇ〜、ケーキまだぁ?」


極夜は早くケーキを食べたくて母さんを急かす。


「父さんが戻ってきたらね」


そう言いながらも、母さんは不安なのか携帯を手に持っていた。


『た、助けてくれ!この家に入れてくれ‼︎』


『わ、わかった!今扉を開けるから、ほら入れ‼︎』


『ああ、ありがとよ…。ありがとナァァァァァァ‼︎‼︎‼︎』


ゴスッ


『がはぁっ⁉︎』


玄関から父さんのうめき声が聞こえ、怯え始める白夜と魔夜に極夜。母さんは異常を感知して電話をかける。


「警備隊ですか⁉︎助けて下さい、家に誰かが入ってきてるんです!」


「落ち着いて、まずは住所をお願いします!」


「住所は…………です!」


「わかりました。すぐに向かいますのでそれまで逃げて下さい‼︎」


「早くおねが


ドガァンッッ


父さんが吹っ飛んでくる。

魔夜達は怯え、3人で固まっていた。

母さんは子供だけでも隠そうとするが


「ひょー、五人かぁ〜」


「そう言うな。意外と楽しめるもんだぞ」


「ブヒヒヒ、どうやっでだのじもうがなぁ」


それよりも先に、絶望がやってきた……。

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