ギルド選定戦・4
準決勝の前に小休憩が入り、俺と魔夜に極夜、……そしてなぜか水川がいた。
「魔夜様とてもカッコよかったです‼︎
さすがは魔夜様ですね‼︎」
「そ、そう。ありがとう」
「そんな、勿体無いお言葉です‼︎」
やっぱり魔夜のファンだったのだろう。
まぁ、あんだけ俺に啖呵切ってたし予想できたけど。
そういえば聞きたいことがあったんだった。
「極夜、何でスキル使わなかったんだ?
『炎帝の逆鱗』使ってれば勝てたかもだろ」
「憎悪に消された」
「なるほどね〜、スキルまでもか…。俺ら魔夜に勝てないんじゃね?」
「……、多分」
「「…………、ハァァァァ」」
俺と極夜は互いに長い溜息をついた。
魔夜の憎悪のスキルは、憎んだものなら全てをなかったことにする能力だ。といっても、魔夜が憎悪を解けば2〜3分後には元に戻る。
それでも、スキルを消すってのは化け物すぎるが…。
「そう悲観することないわよ白夜、極夜」
「そうですよ。魔夜様に勝てると思うこと自体間違ってます」
魔夜は慰め水川は塩を塗る。というか、
「何で水川がいんの?」
俺は疑問に思っていたことを口にした。
それに対して水川は
「別にどこにいようが私の勝手でしょ」
「いや、負けたのに何で控え室にいんのかってことを聞いてるんだけど」
「ハァァァ⁉︎負けてないしっ、あの時は体調が悪かっただけだしっ、マ、マグレで勝ったぐらいで調子に乗んじゃないわよ!」
「…………、そういうことにしておいてやろう」
「こいつ面白いなぁ。白夜の彼女?」
「な、なな、そんなことある訳ないじゃないですかぁぁぁぁっ‼︎」
「俺の学園生活とこいつの態度からわかるだろ」
「白夜には彼女どころか友達さえいないものね…」
「オイコラッ⁉︎別に友達がいないわけじゃないッつーの!作ってないだけだから‼︎」
「「…………」」
「目をそらすナァァァッッ‼︎」
「確かにいなさそうね」
「喧嘩なら買ってやんぞコラァァァ‼︎」
「「よしやるか」」
「……、すみません冗談です」
「「わかればいい」」
「もう嫌だコイツら…」
「アンタって見た目怖いけど、家ではこんななのね…」
俺のヘタレぶりが発揮された瞬間だった。
……、2対1は卑怯だと思います‼︎
そんなこんなで休憩が終わり、準決勝が始まる。
「俺の次の相手は…、七神か。俺ゴッドナーズ2人も相手にすんのか」
「白夜ごときゴッドナーズに潰されればいいのよ」
俺の呟きに水川が反応する。
「私に勝ったのもマグレなんだし、そろそろ降参した方が身の為よ」
「前向きに善処した上で断る」
「断るの⁉︎善処した上で断るの⁉︎」
俺が言うことを素直に聞くと思ったか?
残念!俺は素直に言うことを聞かないのだ‼︎
「負けたら殺すわよ」
「全力でやらせていただきます‼︎」
これが社会、力無き者は力ある者に支配されるのだ…。ほら、俺を見る水川の目がだんだん冷たくなっていってるから。
「それでは、七神 拓哉さんと白崎 白夜さんは闘技場に来て下さい」
集合を呼びかけるアナウンスが流れた。
「それじゃ行きますか」
俺が立ち上がって行こうとすると魔夜と極夜が真剣な顔で俺の前に立つ。
「白夜、分かってるわね?」
「ここでお前が負けたら舐められる。俺と魔夜は学生の頃からトップ、逆にお前は最下位の成績を演じてきた。だから
「わかってるっつの。決勝までは負けねーよ。……、てかさ、お前ら水川がいんの忘れてただろ?」
「「あ、」」
コイツら今まで隠してきたの暴露しやがったぁぁぁっっ‼︎
その水川はというと
「ご、ごめんなさい。もしかして何だけど、今最下位の成績を演じてきたって言いました?」
「「「言ってない」」」
「言いましたよね⁉︎何でそんなに息ぴったりなんですか!」
「「「兄弟だから」」」
「そうでしたね‼︎そんなことより、白夜!
どういうことよ、最下位を演じてたって」
あーあバレた。まぁ、あんだけ派手にやれば隠してたことなんて一目瞭然だよなぁ。
「その話は後でな。そろそろ行くわ」
「早く潰しなさいよ」
「帰って寝たいから」
「励ましはないのかよ…。じゃあ行ってくる」
「アンタ絶対に後で教えなさいよ!いい、絶ッッ対にだからね‼︎」
「…………」
「無視すんなぁぁぁぁ‼︎」
俺は水川を無視して闘技場に向かうのだった。
闘技場に着くと既に七神 拓哉がいた。コイツのステータスは
七神 拓哉 LV25
筋力:1000
魔力:240
耐久力:1900
敏捷力:360
スキル:鍛冶神の加護(武器作成)
確かにステータスは凄いが、余裕で勝てる…、のだけど、ゴリラみたいな筋肉で身長も171センチの俺を軽く見下せる213センチの男とやるとか、何かイヤじゃね?こんな奴が同い年とか詐欺だ⁉︎
「がっはっはっは!こんなヒョロそうな奴に負けるとは十一神家もしか大したことはないな!」
どうでもいいや。瞬殺しよう。
「それでは、試合開始‼︎」
「瞬殺してくれるわぁっ‼︎」
七神が叫びながら俺に突進してくる。
俺は魔銃を二丁出して、
パパンッ
ドサッ
脳天にピンポイントでヒットさせ倒した。
もちろん殺してはいない。
あっけない試合に静まり返る闘技場。
「えー、勝者白崎 白夜!」
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