ギルド選定戦
「さぁ、始まりました!第1457回眷族戦武、ここに開幕致します‼︎‼︎」
この眷族戦武はトーナメント戦。
一回負ければそこで終了のいたって普通の決闘だ。ルールは相手を殺さない、ただそれだけだある。どんな傷を負っても魔法で治せる。たとえ眼を切られても時間さえあれば治るのだ。
しかも1年に数回あるのでもはや見世物として人気がある。
俺と魔夜、極夜は勝ち進んでいけば俺は魔夜と極夜のどっちかと決勝で当たる。魔夜と極夜はその前の準決勝で当たっているから俺は片方だけということだ。
それと、さっきの十一神とは準決勝で当たるかもしれない。『12神族』だけあって十一神は強い。しかも、魔夜と極夜には負けているものの学園ではトップ5に入るくらい強いので俺としては最悪だ。ちなみに魔夜はトップで極夜は3番目だ。2番目と4番目は、まぁ、その時考えればいいか。どうせ俺と当たるし。
そんなことを考えていると魔夜と極夜がこっちにやってきた。
「白夜、今日から全力でやるわよ」
「……魔夜と極夜とやる時は?」
別に全力でやるのはいいけど兄弟で本気でやるのは少し抵抗がある。
「オレは白夜の時殺す気で行くから」
「ほう、そんなに死にたいのか極夜?」
「なら、私も本気でヤリにいくわね」
ニコッと笑いながら最悪なことを告げる魔夜。いやいや、相性最悪な魔夜が本気とか死んじゃうから‼︎
「オレは勝てるから別にいいよ」
「お前は相性がいいからな!俺は相性悪すぎて死ぬかもしれないんだよ!」
冗談抜きで‼︎
「とにかく、スキルも使っていいから全力でやりなさい。私達も全試合本気で行くから」
「了解。ハデスのギルドを強くするには手っ取り早いしな」
まぁ、確かにその方がいいか。でも、
「俺はぼっち生活気に入ってたんだけどなぁ〜」
俺のその言葉に途端にジト目になる魔夜と極夜。
「まぁ、妄想は自由よね」
「うまい言い訳だな」
「…………」
別に、俺が友達いないから弱い奴演じてたとかじゃないし!別にコミュ力がないとかじゃないしっ‼︎
そんな会話をしながら俺達は試合が回ってくるまでの間控え室で暇を潰していた。
「次は白崎白夜、水川時雨!両選手は前へ!」
とうとう俺の番が来たようだ。
「じゃあ行ってくる」
「加減しろよ」
「さっき全力でやれって言ったじゃん」
「やったらあの子死ぬでしょ」
それもそうだ。
「了解。サクッと勝ってくる」
そう言って俺は闘技場に上がるが、水川に凄く睨まれている。何かしたっけな?
「それではステータスを表示してください」
この眷族戦武は1回戦に限りステータスを表示して、試合を見に来ている神や観客に開示するのだ。
「ハッ!アンタのステータスなんてゴミよね。何でアンタみたいなのが魔夜さんと兄妹なのよ…、何で……」
どうやら魔夜の熱烈なファンらしい。
俺達の魔導学園には魔夜のファンクラブがある。容姿端麗、実力は申し分なしでどんな人にも優しいと評判のある魔夜は男女問わず絶大な人気がある。それを知った俺は魔夜にそれを報告すると
「何でそんなことになってんのよっ⁉︎」
と悲鳴を上げていた。
そんなことを考えていると水川のステータスが表示された。
水川 時雨 LV21
筋力:400
魔力:1050
耐久力:350
敏捷力:500
スキル:水操作
「「「「「おおぉー‼︎」」」」
観客がそのステータスを見て湧いた。
この世界の平均的な学生のステータスは合計1500くらいでそれを850も上回っている水川は優秀と言えるだろう。
「どう、私のステータス?アンタとは比べものにならないでしょ。アンタ、確かステータス合計800くらいしかないんでしょ?棄権した方が身のためよ」
俺のステータスは確かにこの前は合計820しかなかった。でもそれは、
「「「「「「おおー‼︎‼︎‼︎」」」」」」」
白崎 白夜 LV27
筋力:1570
魔力:900
耐久力:930
敏捷力:2340
スキル:殺意、空力脚、魔銃、加速、宿雷
魔夜に幻覚で誤魔化してもらったものだから、水川よりは遙かに強い。
水川は俺のステータスを見て口を開けて呆然としている。
まぁ、俺と同じクラスで俺の最弱ぶりを見てただけに自分より強いなんて信じられないのだろう。現に学園の奴らは全員絶句している。
「それでは試合を始めますがよろしいですか?」
審判が開始の確認を取る。
「え?あっ、大丈夫です!」
「こっちも大丈夫です」
俺と水川が了承すると
「それでは、始め!」
試合が始まった。
先手は俺だった。
「魔銃よ」
そう言うと俺の右手に黒い銃が現れる。
それに驚いていた水川だが、既に詠唱に入っていた。この辺りは流石と思うが
「相手が悪かったな」
そう言って俺は引き金を引いた。
水川は俺が銃を向けた時点で詠唱を完了し、魔法を放った。
「お、押し潰せ、『水竜』!」
しかし俺の銃から放たれた弾は『水竜』の頭に当たり、一撃で粉砕した。
「う、嘘…」
呆然としている水川に俺はもう一度引き金を引いた。
パンッ、…ドサッ
そして水川に俺は圧勝した。
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