#4

4-1. 出発

 土曜日――デートをする日の朝、携帯のアラームが部屋に鳴り響く。

 休日は、部活とか入ってない俺にとっては早く起きて学校に行く必要がない。

 そのため、休日は遥奈が起こしに来ない。――朝から疲れずに済む。

 だから、早く起きなければならないときには、こうやって携帯のアラーム機能を使って起きている。

 俺は携帯のアラームを止め、ベッドから出て、顔を洗いに洗面台へ向かう。


「あれ? お兄、なんか早くないか?」

「あ、遥奈、おはよー」


 洗面所へ行ってみると、そこには先客の遥奈が立っていた。


「うん、おはよう。今日なんかあったっけ?」

「いや、ちょっくら出かけるもんでな」

「へぇー、そうなんだー」


 遥奈も起きたばかりなのか、長い茶髪がところどころ跳ねている。

 遥奈がぱしゃぱしゃと顔を洗い終え、遥奈は自分の部屋へ戻っていく。

 俺は顔を洗い、自分の部屋に戻り、出かけるための服装を決めた。

 ――こういうのはいつもどおりでオーケーなんだよな。

 どうしてそう思うかというと、ギャルゲでやっているからわかるのだ。

 わざわざいつもとは違う服を着て『決めてきたぜっ』とやるよりは、いつもどおり接するために、いつもどおりの服を選ぶだということだ。

 俺はいつもどおりの、黒色を中心とした服をチョイスし、それに着替えて、部屋を出た。

 すると、部屋の前に遥奈が立っていた。ちゃんと跳ねていた髪を直してある。


「どうした?」

「いや、ちょっと聞きたいんだけど、葵ちゃん、元気だった?」


 そう言えば、昨日の朝葵とは会っていないため、心配していたのだろう。


「大丈夫だ、昨日はちょっと風邪を引いて寝込んでいたらしい」

「そう、それならよかった――けど、私が遅くまで公園に居させたのが悪いのかな?」

「あぁ、そうそう」

「ん?」

「遥奈にこう伝えておいてって頼まれてた。『遥奈ちゃんのせいじゃないから安心して』って」

「お兄、実はそれって、私を苦しめているのと同じなんだよ? しかも言われてないでしょ?」

「……バレたか?」

「うん、バレバレ」


 俺の気の利いたアドリブが、どうやら裏目に出たらしい。


「――でも、お兄がそう言うんだったら、安心していいんだね?」

「まぁな」

「そっか」


 遥奈は微笑み、朝食を食べるために、台所へ向かった。

 俺もその後を追いかけるように台所へ向かった。

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