第8.5話辻村遥と言う少年



少し昔話をしよう


俺がまだ辻村遥だった頃の


ちょっとした御伽噺さ









俺はある港町に生まれた


幼少期はなにも問題を起こさず


良い子の模範的になっていた



小学で友達が一気に増えて


いつも友達と遊び呆けて


それはそれは楽しかった



でも


中学で一変した



卒業を間近に控えた3年の寒い冬のある日



一人の友人が俺に助けを求めて来た


内容は近くの不良校の生徒にカツアゲされそうになって


逃げるために殴って逃げてしまったと


助けるためだった


俺はソイツを助けたいと思ったんだ


だから


その不良が仲間を連れてウチの学校に来たとき



俺は校庭にガソリンを撒いて待ち伏せした




すべて


ソイツのために


俺は不良共を完全に潰した


校庭に火を着けたのは不良達が入って来れないようにするのと、俺自身が逃げ出さない為のものだ


背水の陣だな


誰も着いて来やしないから


独りで闘った


独りで…な?


怖くなかったかって?


怖いに決まってんだろ


独りで武器持った多勢を相手すんだからよ


鳩尾を蹴られて肋骨を数本折ったし

鉄パイプで殴られて額も割った


でも


でも自分が負けて

ソイツ以外の生徒に飛び火が移らないとも限らなかった


そしてそれを考える方がよっぽど怖かったんだ


笑っちまうよな?


俺はただ、大切な友達と学校を守りたかっただけなのに


そう

大切だったんだよ?


あんな奴等が



あの日

自分の友達と学校を守った日から


俺は


辻村遥と言う存在は



“無くなった”


“無き者”にされたのだ、俺の救った奴等の手によって…


だから俺は全てを…

俺を否定する全てを“破壊”した



“ぶっ壊してしまえ!”


誰にも見えない化け物



俺は存在を認めてもらえないモンスターなのだから





壊れた切っ掛けは…そう


何も信じない事を契約としてだ


たとえその契約が呪われていたとしても




俺は…………


























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