第7話小鬼vs93式13㎜機銃
機銃を作ってから数日が経過し
たまに訓練で使う以外は機銃に触れない
施設の仲間にも触らないように言ってある
そして今日も
いつものように点検と訓練のために俺は川へ来ていた
「よし、今日も誰も触ってないな」
被せてある布を見て
誰も弄っていないのを確認する
「何も知らんガキ共が触って怪我されたら何か目覚めがワリィしな」
といって点検を開始する
「あれ?ハル君?」
機銃の点検をしていたら後ろから声を掛けられる
振り返ると見知った顔が
「あン?……レイカか」
「何してるの?」
「別に?関係無いだろ」
「むー…」
素っ気なく返すと頬を膨らませてこちらを見てくる
ナニコノカワイイイキモノ
「てか、お前は何か用か?」
「ううん、別に…川で魚取ろうかなって
下の子達も来るんだ、一緒にどう?」
「いや、ええわ遠慮しとく」
基本子供のお守りは苦手である
◆
さて、その後レイカの言葉通り何人か川へ来た
俺は軽く会釈だけして
バレルに歪みが無いか
㎜単位のズレ等が無いかルーペを使って調べている
ちなみに訓練射撃は目の前で魚採りをしているガキンチョ共に当たったら危ないので今日は無しだ
「…うん、今日の点検は終わりかな」
俺は機銃に布を被せて帰ろうとする
ふと一度だけ振り返るとレイカ達が水遊びしていた
(おい魚はよ!?)
とは思ったが、近くのバケツ山並みに魚が入れられていた
(…最近暑かったもんな、魚半分水遊び半分…か?)
そう考えながら今度こそ帰ろうとしたとき
「きゃあああ!」
後ろから悲鳴が聞こえた
「…ッ!?」
急いで振り返ると森からゴブリンが10匹抜け出そうとしていた
「ヤバイ!?」
向こうの森から川まで100mほど
川は深いところで30~40㎝位の水深で横幅が200mほど
「チィッ!間に合え…」
俺は機銃へ向かって走りだす
「みんな逃げて!あっ、ハル君何戻ってるの!?」
みんなを誘導して逃げている途中のレイカが逆走する俺を呼び止める
「バカヤロォ!俺が殿を引き受けてやるから早く逃げてリオネさん呼んでこい!!」
俺がそう言うと申し訳なさそうに横を過ぎて行った
さて、今までの訓練でどれ程の射撃技術が身に付いたかな?
俺はそう考えながら川に入ったゴブリンを見つめる
あと猶予は1分程か…
ゴロ…
俺は鉱石の入った箱に手を突っ込んで30発入弾倉を創造する
さぁ小鬼ども
決戦と行こうかーー
◆
~レイカ視点~
ゴブリンが出た
今まで森から魔物が出ること何て無かったのに
ゴブリンは小鬼種で顔が凄く醜い
また繁殖力も高くてどんな種族でも子供を生ませる事ができ
例え子供でも女なら容赦なく犯す
森から出てきたゴブリンは10匹だ
個体の弱いゴブリンでも子供では倒せない
私は魔法が使えるから多少は戦えるだろうけど10人は無理
リオネ先生を連れてこなくちゃ!
私は周りのみんなに指示を出していち早く施設へ逃げ込もうとする
その時
私の横を
一人の少年が横切った
蒼白い髪に私と同じ大きな黄眼ーー
ハル君!?
何でゴブリン達に向かって行ってるの!?
「みんな急いで逃げて!あっ、ハル君何戻ってるの!?」
私はそう叫んだ、けど…
「バカヤロォ!俺が殿を引き受けてやるから早く逃げてリオネさん呼んでこい!!」
そう怒鳴って返してきた
私は言い返す事が出来なかった
何故かって?5年も一緒にいれば今の言葉でどれ程真剣に言っているか分かったからだ
ハル君は基本真面目で真剣で切羽詰まった時だけしか口汚い事は言わない
つまり今回ハル君はそれだけ真剣に言っているのだ
分かった…絶対生きてるって信じてるから!
直ぐにリオネ先生を連れてくるね!!
◆
視点戻るんじゃよ~
「さて、前方に3匹
右に2匹と左に5匹か…」
俺はそう言って足場に乗る
ガコ…
そして先程作った弾を装填
ちなみにサブでもう一弾倉作っておいた
予備だね
(ん…ここは左からかな?)
左から攻める事を決めた俺は掛声を出す
「対地戦闘ー!」
ゆっくり機銃を左に向けて
ゴブリンの列と標準を合わせる
「左30°ー!仰角-2°ー!撃てェ!!」
標準が合わさったらトリガーを握り込む
ズダダダダダダダ!
シリンダーの爆発する音のみが聞こえる
数秒で俺は左の5匹をほふった
やってて良かった射撃訓練
左から今度は真っ正面に向けて撃つ!
ズダダダダダ…ガシュッ!
た、弾が切れた!
幸い正面も全滅だ
だが右の2がどんどん近づいて来る
あぁ!?あいつら仲間の死体を盾にしてやがるな?
だがよぉ
あんましこの13㎜機銃の威力を嘗めないでくれッかなあ!
この13㎜は当たり所良けりゃあバッファローやドーントレス位ならイチコロなんだぞ!
俺は弾倉を新しく装填してトリガーを握り込む
ズダダダダダダダ!
◆
~レイカ視点~
リオネ先生を連れて戻ると
ハル君がゴブリン達と戦っているのがみえた
なんだろうあれ魔道具かな?
ハル君の使っている道具の威力は凄まじいかった
ゴブリンを一瞬で肉片に変えていく様はしばらくの間夢に出てくるかも知れない
「は、ハル君?」
リオネ先生はびっくりしたのか少しどもっていた
「リオネさん、もう終わりましたよ?そこに倒れているゴブリンで全部です
あぁいたのかい?レイカ…君には少し悪いことをしたかな?幼い君に血は少しばかり刺激が強い」
そう言うとハル君は一人施設へ戻って行った
◆
ひゃー、初戦闘疲っれたぁ!
まぁ無事で済んで良かったさ
痛いのは嫌ザンス(キリッ)
…リオネさんには少しばかり怖がられちゃったな
どもってたし
…リオネさんだけじゃない、きっとレイカも俺が怖いだろう
俺がゴブリン10匹を倒した事が周りに知られれば
俺は周りから化け物を見るような目を向けられるだろう
人とはそう言うものだ
人は自分の届かないと思う力に決して勝る事はない、人はそんな自分に届かない力に恐れを抱くのだ
これ前世での経験則
…みんなに怖がられる前に
俺がみんなから離れて行くのが良いのかもな……
つまるところが、ボッチ街道まっしぐら
異世界に来て何やろうとしてんだか、俺は…
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