第3話フライパンから始まる便利グッズ

さてさて

本日は皆様に聞いて貰いたい事があって

この場をもうけさせて戴きました

では聞いてくださいね


「俺の【万物創作】スキル、材料がないから零戦はおろか原付すら作れねぇ!!」


そうなのです

俺の能力は

万能な代わりに莫大な量の原料を使う


例えば原付のカブを作るのに鋼材100㎏消費する

本来のカブは70㎏程度だが

鋼材は鉄と廃材を出すからな


だからフル装備で2400㎏の零戦を作るには3430㎏の鋼材が必要だ

うん、無理


大和で約10万tでしょ


施設は貧乏なんですよ


ただし、チャンスはあります

ん( -_・)?チャンスとはなんぞ?


それは冒険者ギルドの存在


ギルドなら…鉄の10万20万どうにでもなるだろ?

この施設は10~15歳になるまでには職を探して出ていかないといけない


うん冒険者か、面白そうだな


進路は冒険者か…





「あぁ!?」


ある日台所からそんな声が聞こえた


「うっ…」


駆け足で駆け込むと

台所でとある女の子が泣きそうになって座り込んでるのを見つけた


あれ?あの子は…


「レイカ?」


金髪黄眼の狐人族の女の子で俺と同い年だ


レイカは俺の声に反応してこちらを向く


「は、ハル…君?ど、どうしよう…」


そう言ってレイカが泣きそうになりながらしたに目線を落とす

釣られて俺も目線を落とすと

なぜレイカが泣きそうなのかわかってしまった


そこにあったのは再起不能なほど下の凹んだ寸胴鍋であった


「あちゃー…」


彼女が落としてしまったのだろう

だからあんなにも泣きそうなのだ


…あれ?寸胴鍋って鉄製じゃね?

あー、鉄かぁ良いなぁ

あの鍋何個で零戦作れるんだ?


ハッ!?違う違う

あ、いや、でも俺のスキル、使えんじゃね?


クックック!俺のスキルが火を吹くぜ!!


「レイカ、少し離れてな?」


なにぶん初めて使うスキルだからレイカを離れさせる


「どうするの?」


と不安そうにレイカがみてくるので


「直すんだよ」


となるべく柔らかい笑みで言った

するとレイカは信じられない物を見ているような顔をしていたが、気にしない


「さてと…」


そう言って俺は寸胴鍋に触れる


(スキルオン…ーー)


作成

大型寸胴(10㎏)


参考材料

鉄鉱石14㎏


材料

壊れた寸胴(汚れ付き15㎏)


作成しますか?


はい/いいえ


(あぁ…多少は小さくなっちまうのか、でもないよかマシだろ)


作成



壊れた寸胴が光り、元の寸胴よりちょっとだけ小さな寸胴が出来上がる


「…うん、こんなもんか」


出来上がった寸胴を点検

不具合等無し


「ほらレイカ、これで大丈夫だろ?」


とレイカを見る


「…………✨」


…なんか凄いキラキラした目で見られてる



とにかく、俺のスキルはやはり普通にチートだと言う事がわかった




俺の生きているこの世界は

魔法があるものの基本的水準は古代ローマと然程変わらない


つまり料理法は寸胴で煮るか食材を串刺しにして焼くかしかない


そこで俺は


この世界に料理の革命児を産み落とそうと思う

その革命児とはーー?


フライパンである


油をひいてから焼く工程だけでカスタマイズは無限大!

揚げ物OK

煮物OK

蒸焼きOK

炒め物OKの万能児


それがフライパンである!


…まぁ、なんで作ろうかと思ったか


簡単に言うと寸胴の件がバレた


そりゃあ使いふるされて汚れていた寸胴が鏡のように人の顔を反射するほどピカピカになるはずないもんな


最初は何処から盗んできたか、いつ施設を抜け出したとか保母さんに怒られた

リオネさんは怒ると言うより悲しみで泣いていた


でも俺がスキルで物を作れることを言い

証拠に目の前で廃材に紛れていた屑鉄を十字架のイヤリングに変えたら信じてくれた


ちなみに何で十字架のイヤリングかって?

俺が着けたかったからだよ

え?何でイヤリングかって?

…ピアス開けたら…リオネさん、俺がグレたって泣くかも知れないじゃん



まぁとにかく


鉄が手に入ったんだ!


え?どうやってって?


リオネさん達から使えなくなった料理道具をリサイクルできないか渡されたのさ


その数寸胴10数個に火鉢6個


㎏にして200㎏前後!


あ、さすがに全部フライパンにはしないよ?


フライパンの他は

煮物専売の両手鍋

誰でも簡単皮剥きピーラー

錆びにくいステンレンス包丁&研ぎ棒

切れ味最高玉鋼製肉包丁

俺の趣旨おろし金

これらを10組ほど


そして作成!


え?早すぎるから描写をくれって?

おいおい、壊れた寸胴や火鉢に手を添えるだけの描写の何処がおもろいねん

第一一般の読者はそこまで求めてへんねや

一々ちゃんとした描写入れたら長くなるし、ギャグ系なのに話が真面目になる

更にそれを裏付けるかの如く過去の作品での描写を真面目に書いてから消えていくブックマーク


ある種俺のトラウマやねん!


と、話はここまでにして


完成しました‼


「さて、とりあえず引き渡しに行くかね…」


…ん?

まだ鉄が半分位あるか?


(そういやリオネさん…頑張ってるよなぁ

良いよな?あの人の為なら…)


前世の記憶を探って荷物を置けて機能の充実したママチャリをーー




「リオネさん、完成しましたよ」


とりあえず授業の休み時間に報告へ行く

え?俺は授業受けないのかって?

受けないよ、今日は魔法講座&実施が多目なんだから


ーーー


MP-(システムアップデート中残り81%)


ーー


…未だコレモンだからなぁ



「あ、もうですか!今行きます」


ちなみに前の時間は魔法実施の授業だったので、外に呼びに行った


~移動中~


「はい、これが完成した奴です」


「わぁ…」


机に置いてある道具達を見て頬を綻ばせるリオネさん


「あと、これなんですけど…」


プレゼントに作ったママチャリ5台


リオネさんを含め保母さん達は10人だがさすがに鉄が足りなかった


「えっと…これはなんですか?」


やはり自転車を知らないらしく

リオネさんの顔が困惑気味になる


「これは自転車って言うんですけど…ちょっと外に出ましょうか」



~またもや移動中~


「自転車の乗り方何ですけど、このハンドル部分を持って…」


俺は現在リオネさんに自転車の乗り方を教えているが

俺は5歳、しかも普通の5歳児より小柄なので

サドルを一番下まで下げてもまだ高い

仕方ないので片足立ちで自転車傾けてるよ


「…で、こう」


「す、凄いです!!」


ママチャリをこいで施設をぐるぐる回る

リオネさんには一周回る時に自転車についてを教える


「漕いでる時にパワーを感じなくなったらこう…ギアを変えて下さい」


最後に変速機について教える


にしても久々自転車乗ったけど楽しいね


ラストギアが変わり

重くなったペダルを思いっきり漕ぐ


さっきまでゆっくり流れていた景色がすぐ真後ろに飛んでいく感覚


直ぐにリオネさんの所まで戻って来る


リオネさんまで10数メートルになると

俺は思いっきり後ろブレーキを引いてリアタイアをロックさせる

所謂スピンターンと言うやつだ

そしてリオネさんの真横1メートルらへんで停車


「…以上で自転車についてはおわりです

大型のカゴがついているので買い物などに使って下さいね?

あと、椅子の位置が低かったらこの棒を回すと位置を高く出来るので」


と言って自転車講座は終了


5台全てを引き渡し


スキルを使っての大仕事を終了した


後日、作った料理器具やママチャリの称賛が凄かった








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