マメな人々

  科学技術の発展により不老不死となった人類の悩みは、病気にかかることだった。その体で不治の病を患おうものなら永遠の苦しみと対峙しなければならない。

 良い対策はないかと各国が集まり協議したところ、とある島国の代表が無病息災の行事を紹介した。

 実際にそれを試してみると、ぱったりと病気になることはなくなり、人々は神のおかげだと喜んだ。

 だが悠久の命を得ることが、神をも恐れぬ所業だということに人類が気が付くまでには、果てしない時間が必要だった。


 その悪夢は2月3日、節分の日に始まる。

 この日から人類は「年の数」だけ豆を食べなければならない。

 最初は一日あれば十分だった量も、もはや年の瀬ギリギリになっても食べ切れない程、月日が流れていた。そして今年の分を食べ終えたとしても、すぐに新しい年がやって来るのだ。

 そんな来年の心配をする人々の耳元では、何度も追い出したはずの奴らが笑っていた。

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