12人の魔女とラグナロク

@takadakirito

第1話 純粋 ━purity━

━8月3日8時28分━


━━「俺の名はエダノ 民主デモクラシーサバイバーだ」

 俺はネット上でゲームのキャラになりきってる大学中退の二十二歳フリーター(漫画喫茶勤務)だ。


唯一の楽しみはキャラになりきりながらの配信だ。

ネットの中ではアニメの主人公も真っ青の人気を誇る(自称)配信者だ。

実際の現実の俺は、身長169センチ体重は90キロ間近、顔も中の下(自称)といいところがない。


「今日も配信おつかれさまっと、俺がんばったな」


早朝に配信を終え、静かになった部屋は夏の暑さを体現するかの如く、やかましいセミの声に包まれていた。

ふと目を向けるとそこにはいつものパソコンの画面、左右にはゲーム用のテレビとフリーターの初任給で買った大きめのタワーパソコン。部屋の前には仕事に行く前に少し小さくなった母が運んでくれた朝食が置いてある。

今日の朝ごはんは昨日の晩飯の残りの生姜焼しょうがやきと余ったひやごはん、それと1枚の紙が置いてあった。


「俺はヤギじゃねえっつうの……」


独りでツッコんでしまう。これが生主の運命さだめ。デザートは最後にとっておく主義なので生姜焼きをおかずに冷ごはんを食べる。

俺は1枚の紙を冷や汗かきながら手に持つ。よくみるとそれは手紙だった。冷ごはんをかきこみながら目を通そうとする。


「これは……」


書いてあったのは見慣れた母親の文字ではない。無機質な文字で少し読みにくい……いやこれは日本語なのか

俺は何故かその場を立ち上がり手紙を電子レンジにかけようとしていた。手紙が俺の脳に、いや脊髄に語り掛けていたのだ。

大学中退と母親からのプレッシャーで俺は頭がおかしくなってしまったのか、そう思って言葉をもらす。


「俺はいったい…。…っ!」


━━瞬間、黒い光シュバルツリヒトが俺の視界を奪った




━同日同時刻━


私は暗い部屋にこもって一人でRPGをしている。高校で友達ができず中退し

、毎日ネットとゲームで日々を費やしている20歳。


「このボス魔法攻撃が効かないってどういうことなの!物理育ててないよ!このボス陰キャかよ」


ついコントローラーを壁に向けて投げてしまう。壁には無数の跡があり常習犯だと一目瞭然だ。


「はぁ……なんですぐカッとなっちゃうんだろ……」


一月前までそこそこ人がいるコミュニティで権限をもらい配信をしていた。

しかし煽りに耐えかね悪口を言うだけ言ってやめてしまった。


「高校の時と同じだ……またやっちゃった……私って本当陰キャかよ」


ゲームの電源を切り、暇つぶしがてら始めた日課の黒魔術をするべく黒塗りの本を取り出す。


「こんなの嘘にきまってるのに……」


指定されている通り羽化に失敗したセミの幼虫、処女の経血、牛乳といった材料全てを台所で捕まえた生きたネズミの口の中に突っ込み、魔方陣を机に描く。


「普通魔方陣っていったら丸かいて星かいたりするもんでしょ…なによこの本……」


机には2つの点に挟まれて小さな丸が描かれている。これが陣といえるかはわからないが。

……しばらくたっても何も起きない 部屋には血なまぐさい匂いと獣と牛乳がまざった臭いが漂う


「誰がこれ片づけるのよ!いい加減にして、陰キャかよ!」


いつもの癖で机の上の魔方陣らしきものに八つ当たりしようとしたとき、黒い光シュバルツリヒトが彼女を襲った


「っ!っちょ!なによこれ!……」


黒い光に包まれ意識が遠のいていく。


こうして招かれざる2人がゲームへ参加した。


                           ━━次枠へ続く



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