第2話

 公園のベンチに腰を掛け、白い脚を組んで座っていたのは杏奈であった。

 手に持ってるものは、自分が描かれた懸賞金のポスターである。

 土臭い風が妙に心地い。彼女は「はぁ」とため息をついた。

「……まじかあ。前までは三百万だったのによぉ」

 そう言って缶ジュースのプルタブを起こした。「ゴクリ」と一口飲んで、またため息をつく、


「眠いよぉ」

と、呟いたその直後だった。


「見つけたぞ!」

 野太い声が公園に響いた。

 その声を合図に、7~8人の集団が杏奈を取り囲んだ。

 皆、若い連中だった。中には原チャリの雑音を轟かせている者もいた。

 その中で、恐らくリーダー各と思われる男が出てきた。

「俺たちが、どれだけ君を探した事やら。さあ、俺たちについて来ないかい?」

「懸賞金のお目当てですか?なら断ります」

「どうして?なぜ、命を取られる訳じゃねぇんだ。それにみんな君に凄く注目している。悪くはないと思うがね」

「あのぉ。嫌なものは嫌ななんですよ私」

「なら、ちょっと強引なやり方になるかもだな」

「お決まりのパターン?」

「ああ、そのかわいらしい強気な態度が、一変するように遊んでやる」

「いいですよ。でも、一つ確認しておきたい事があります」

「なんだ?」

「お目当ては?」

「懸賞金ただ一つだ!」

「で、あるのなら、それに見合う価値と力が私にはあると言うことですよ。それとあまり格好つけた発言は控えた方がよろしいかと思います。」

「捕らえろぉっ!!」

 次の瞬間、男は吹っ飛ばされた。

 辺りがざわつく。


 そして、何故か、地面が凹んだ気がした。

 その間も、次々と人が吹っ飛ばされては地面が凹み吹っ飛ばされては凹みを繰り返した。

「懸賞金、ほしいのですか?」

 杏奈は不適な笑みを浮かべた。


 だが、男達は彼女を物凄い目で睨み付け、その場から離れて行った。

 この一連の出来事で、彼女は一度もベンチを立ち上がらなかったのであった。

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