ファイナルエージ

あきたけ

第1話

 ある3月の乾いた空の昼下がり、麟太郎は公園を散歩していた。


 オシャレなレストランからの帰り道、ポケットに手を突っ込み、お気に入りの洋楽を口ずさみながらの、至福の散歩であった。


 ふと辺りを見回すと、電柱にはかなり過激なポスターが張ってある。彼は無造作にそのポスターを剥ぎ取った。

「バリッ」という鈍い音がする。


「なにぃ? いっせんまんえん?。この杏奈ちゃんを見つけたら一千万円の懸賞金かいなあ。アッハッハッハッ!下らねえ」


 彼は、そう独り言を言うと、ポスターをグチャグチャに丸めて捨てた。


 するとポスターは宙に浮き上がり、独り手に開きはじめた。そうしていつの間にか空中で紙飛行機が完成したのである。


「…………全ての宗教団体へ、俺からの宣戦布告だぜ」


 紙飛行機は、モノスゴイ速度で飛んで行ってしまったのである。


 そして青く澄んだ空に浮かぶ真っ白な月を仰ぎ見て彼は囁いた。「まだ、届かねえ」と。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る