騒然ナチュラル(5)

 約1時間前。


 春が文彦と出かけてから、ほとんどすぐ後。潤たちは影路深月に連れられて、十六夜久路人の運転する車に乗り込んでいた。



 春が出発した直後。潤たちの前に突如、影路深月と十六夜久路人が姿を現した。

 彼らの登場に潤たちは身構えたが、警戒する彼女たちを制し、取るものも取り敢えずこれを見て欲しいと深月が示したのは一本の動画。

 染沢葵が、潤たちへ向けてメッセージを語ったビデオだった。


 動画の中で、葵は手短に語る。


 春を文彦から解放するため、葵が深月たちの仲間となったこと。

 深月たちは深月たちで、苑條の支配から逃れるために密かに動いていること。

 今日これから文彦が向かうだろう場所にて、苑條が春を捕らえるべく待ちかまえていること。

 葵は深月たちと協力し、その場で春を、そして深月たちをも解放するための作戦を決行するつもりであること。

 詳細は後で深月から聞いてほしいこと。


 以上のことを語り、動画は数分で終わった。

 そして深月は彼女たちに、これから彼らと一緒に河原まで来てもらえないかと依頼したのだった。



 無論、彼のことを疑わなかった訳ではない。先日も裕希へのなりすましがあったばかりなのだ。

 だが動画経由とはいえ映像付きで葵本人が喋っていたことや、端的な説明の流れは理が通っていたこと。

 それに当の深月が、同伴を依頼こそすれ、信用できないのであれば無理強いはしないとの態度であったことから、潤たちはひとまず車へ乗り込んだのだった。


 車内で、潤は頬杖を突きながら不満げに言う。


「しっかしさあ。アオリンもそうだけど、お前らもお前らだよ。

 協力するんなら、もっと早くうちらに言ってくれればいいのに」

「それが出来たらここまで苦労してないよ」


 助手席の深月は、後部座席に座る潤を振り返りながら、ワイシャツのボタンを外して首元を見せた。

 彼の首には黒いチョーカーが付けられている。

 ただの服飾品ではない。よく観察すれば、チョーカーには小さな機械が付けられているのが分かる。


「俺たちはこの『センサー』で、苑條に位置情報を掌握されてるんだ。

 誰がいつどこに行ったのか記録が残るから、迂闊に歩き回れない。この辺りを彷徨うろついてたら、一発でばれるからね。

 で、違和感のない範囲内でかろうじて接触できたのが葵さんだけってわけ。前に畠中さんに会いに行けたのは、ホントに彼女に話したとおりの口実が一応あったからってだけだからね。

 ついでに言えばメールのデータや通話履歴だって苑條に全部把握されるから、葵さんづてに連絡をとるわけにもいかなかった」

「……それは」


 まだ深月に対して猜疑心を抱いていた奈由が、思わず口を開いた。


「それは、人道的にどうなんですか。ってか、どうしてあなたたちは苑條にそれを許してるんですか?」

「ホンット、どうかと思うよねー。でも、人道的にアウトでも、物理的に逆らえなかったからさ」


 運転をしながら久路人が軽い口調で答えた。

 前に向き直り座席に寄り掛かった深月が、訥々と説明する。


「畠中さんが高神楽文彦に逆らえないのと同じように、俺たちは苑條に逆らうことができない。俺たちは苑條と使役関係にあるようなものなんだ。

 位置情報もそうだけど、このセンサーには胸糞悪い機能がわんさか付いててね。

 もし彼女に逆らったら、電流を流すなり首を絞めるなり、苑條の裁量如何でいくらでも俺たちを好きにできる首輪なんだ。

 当然お約束ながら、自分で取り外しなんかできやしない」

「なんでそんなモンを付けることになっちまったんだよ……」


 目を剥いた潤が尋ねると、深月はわずかに眉を顰める。


「一言で言えば、騙されたんだよ。

 元々は俺らのデータを継続的に収集して、理術の研究に生かすとの名目で契約が交わされたんだ。このセンサーを取り付けることと、研究主任の苑條へ全面的に協力をすることのね。

 それが『キーパーズ』。理術の研究協力の名の下に集められた、各属性につき一人ずつの被験体で構成された集団だよ。

 けど蓋を開けてみたら、センサーは想像以上に余分な機能が付いた代物だった。高尚な目的を並べ立てて作ったキーパーズは、単純に苑條の実験意欲を満たすモルモット兼、下僕に成り果てたってこと」


 深月はさらりと語るが、その内容に潤と杏季はおろか、奈由まで戦々恐々とした表情を浮かべる。話に聞く以上に苑條はとんでもない人物のようだった。

 潤は、ヘッドレストを握りつぶさんばかりの勢いで掴む。


「そんなとんでもない状況なのに、どうして苑條がのさばったままなんだよ! 上の連中は何してんだ。まさか全部、影路はそんな奴ばっかなのか」

「まさか。流石に上にばれたら一発で苑條は失脚するレベルだよ。

 けど、証拠がないんだ」


 深月は肘掛けに体重を預けて頬杖をつく。


「ぱっと見、あれは本当にデータ収集の為の機能しか付いていない。

 センサーは科学技術と理術とを融合させた物質なんだ。苑條に逆らったときに食らう攻撃は、機械じゃなく単純に苑條の理術。

 普通なら自分の手の平から発する術をセンサーに転送して、直接相手に届くようにしてる。

 だけどその仕組みを持った機能は、理術のデータ収集のための機能と融合させてるから、ただそれが付随してるだけじゃ苑條が俺らを支配してる確たる証拠にはならないんだ」


 首のチョーカーをぎりりと握りしめ、深月は忌々しげに前方を睨みつける。


「これが四六時中首に巻き付いてるんだ。いつも喉元にナイフを突きつけられてるようなもんだよ。

 だから俺たちは、どうにかして苑條を失脚させるため、上層部に直訴するべく不義の証拠を手に入れることにしたんだ。

 例えば。キーパーズに引き込むため、……とかね」



 深月たちは当初、春に協力を依頼するつもりだった。

 夏の一件について緘口令が敷かれているとはいえ、人の口に門は立てられない。実際のところ、彼女たちの話は早々に影路の耳にまで届いていた。


 今回の場合、事実そのものを隠すことよりは、高神楽が緘口令を敷いた、という事実が重要であった。高神楽による分かりやすい牽制である。

 深月が上層部から命じられたのも、「仲間に引き込む」ことではなく「様子を探ってこい」ということのみであった。

 高神楽の思惑を探る為の情報収集が目的であり、端から影路側に引き込もうなどとは考えていなかったのだ。


 だが、苑條はそうではない。

 全てにおいての最優先事項が自身の研究欲と知識欲である彼女にとって、高神楽の牽制など恐るるに足りない。御三家の関係性に亀裂が入ることなど意にも介さず、獲物を手中に収めてしまえばこちらのものと考えるのが苑條である。何しろ影路当主の息子である深月にまでセンサーを付けた彼女だ。


 だから話を聞いたとき深月たちは、間違いなく苑條は春に手を出すだろうと踏んだ。

 メンバーの中で一番能力の開花が目覚しかったのが春であったからと、キーパーズに雷属性の者がいなかったからだ。京也と裕希も開眼しているが、彼らと同属性の者は既にいた。

 その為、深月は春に接触したのである。


 春と深月が会っていたちょうど同じ時。

 別行動をしていた深月の仲間は、苑條と一緒にいた。そしてあえて苑條が春と接触しそうな場所とタイミングで話を切り上げ、二人が邂逅するよう策を弄したのである。

 苑條が春を捕まえたら、その確たる証拠を押さえるつもりであった。


 だが文彦に情報を操作されていた苑條が初めに狙ったのは葵だった。

 おまけに初回は春が自力で苑條を追い払ってしまったため、その時は見送りとなったのである。


 二回目、苑條は葵本人からの呼び出しにより、ナインス――すなわち只今、車を運転中の十六夜久路人を連れて行った。

 この時はまた苑條の敗北で終わってしまうことを危惧し、裕希になりすまして潤たちの誰かがこの場に来るようけしかけた。

 積極的に手は出さないまでも、夏の一件のメンバーが目の前に現れれば苑條は放っておく性質ではない。葵をナインスに任せ、苑條本人は闖入者に対し攻撃を仕掛けると思ったのだ。


 しかしここでまたイレギュラーが発生する。

 よりによって、杏季が来てしまったことだ。


 純粋な古である彼女に手を出した場合、問題となるのは高神楽だけではない。

 御三家は勿論のこと、杏季の場合には桁違いの利害が絡んでくる。

 さすがの苑條も相手が古とあっては退かざるを得ないのだ。二回目は深月たちは出動すらせずに終わった。



 だが、ここで状況が大きく一変する。

 春が文彦の手により、古属性になってしまったのだ。



「古には手を出せない。

 けど、人工的に作られた古であれば影路は堂々と手を出せる。

 畠中さんが古である以上、証拠を掴んで失脚させるどころか、むしろ正面から彼女を入手できる立派な理由を与えてしまう。

 状況は最悪になったけど。上に訴えるよりもっと手っ取り早くて、確実な方策が見いだせた。

 それが、契約の強制解除だ」

「強制解除?」

「そう。センサーの契約には一応、慰み程度に契約解除の方法が規定してあった。

 規定であったのが、もし苑條が規約に反した行動をとった場合。

 『キーパーズの構成員過半数の目撃証言があれば、その場で契約を無効とできる』。

 上層部の承認を待たずして、俺らだけで強制的に契約解除ができるんだ」


 深月は両手を上に掲げ、右の親指を折る。


「キーパーズには八人の人間がいた。けど俺たちは、隣にいる久路人さんと、あと二人の仲間しか知らない。勿論、俺らが下手に結託しないようあえて会わせないんだろうけど。

 この状態で強制解除に踏み切ろうとしても、過半数には一人足りない。条件は使えないんだ。

 だけどもし、あと一人。

 俺たちの知っている人物をこちら側に引き込めたら。それは強制契約解除の条件を満たす人数になる」


 深月はすっと親指を伸ばした。

 人数が九人いれば、五人で過半数に達する。

 その人物を承知していて、かつ味方にすることが出来れば、深月たちは条件を発動できる。


 奈由は静かに問いかける。


「……だからアオリンを誘ったの?」


「そういうこと。

 まずは畠中さんを古から解放する。

 戻ったところで、苑條が今度は雷属性の彼女へ攻撃したところを俺たち五人が目撃すれば、契約の強制解除の条件が揃う。

 俺たちは葵さんの手助けをして、畠中さんを解放する。

 そしたら葵さんは俺たちと一緒に苑條との契約を解く。綺麗にWIN-WINの関係だ。

 ただそれでも葵さんにとって不利な取引だよ。失敗したら苑條との契約は残る。

 成功したって一時期、苑條の元に下るのは変わりない。

 それでも、葵さんは同意してくれた」


 そこまで話して、ようやく深月は口を閉ざした。

 潤は両手で頭を抱える。


 彼の言うとおり、深月と手を組んだのは、決して葵にとって利があるわけではない。

 春を解放するだけなら、手間取りはするだろうが元々の仲間である潤たちと協力する手だってあった。


 だが、葵は許せなかったのだろう。

 彼自身が文彦に踊らされていたとはいえ、春が文彦の手中に堕ちる原因を招いた自分に。

 まともに春へ顔向けできなくなる程度には、彼は参っていた。他ならぬ自分の手で責任を取りたかったに相違ない。


 それだけではない。葵は一刻も早く動かずにはいられなかったのだ。

 同じく春を狙う苑條側の状況を知って、少しでも成功の確立を上げるために。

 少しでも早く春を解放するために。


 杏季もまた同様に考え込み、しばらく車内は無言の状態が続いた。

 しばらくして、その沈黙を破ったのは奈由である。


「つまりまとめると。

 貴方たちは、最初から最後までうちらを利用するつもりだったってことね」


 どきりとして潤は生唾を飲み込んだ。

 葵のことを考える傍ら、薄々感づいていたことを奈由が代弁したので、潤と杏季はじっと注目する。

 奈由は真顔のままにまっすぐ深月を見つめていた。



 一回目、要するに深月たちは春たちを囮に証拠を掴もうとしていた。

 二回目もそうだ。

 今回、葵を誘ったのも、単に人数の問題だけではない。葵の望み云々は関係なく、深月たちにとっても春の解放は最低限必要な条件なのだ。

 WIN-WINの関係とはよく言ったもので、実際には圧倒的に深月たちに優位な取引である。

 悪く言ってしまえば、彼らは葵の心情につけこんだといえた。

 深月は動じる素振りなく振り向くと、落ち着いた声音で告げる。


「否定はしない。

 というより、申し開く余地なくその通りだよ。

 ただ一つだけ弁解しておくなら。どの段階だって間違いなく助けるつもりではいたし、今だって何かが起これば助けるつもりでいる。

 味方とは思ってくれなくていい。

 けど、敵じゃないとは言っておくよ」


 彼の迷いのない眼差しを捉え、しばらく二人は目を合わせたまま無言になった。

 やがて、諦めたように奈由は溜め息を吐く。


「分かった。信じることにする。

 はったん本人がどう思うかはともかく、別にもう君らを批難しない」

「……珍しいね」


 ぼそりと潤が言った。

 少しだけ疲れたような表情で、奈由は彼女を見返す。


「後ろめたい部分まで含めてここまで手の内を開陳されたら、疑えって方がむしろ難しいよ。

 しゃくだけど、私はそういう潔さは嫌いじゃない」


 ふてくされたように奈由は頬杖を付いた。ようやく車内の空気が緩み、つられて杏季も深く息を吐き出した。

 潤もまた気が緩んだところで、彼女は素朴な疑問を投げかける。


「ところでさ。どうしてうちらを連れて来たのさ? 別に、作戦にうちらはいらないんだろ」

「一つには、万一を考えてってのがある。俺らが来ようと来るまいと、どうせ河原に行くつもりだったんだろ。もしも作戦が失敗して人質にとられたりしたら厄介だから。だったら最初から一緒に行動してもらった方が、より危険が減るしね。

 もう一つは。さらに一歩、苑條を油断させたくて、さ」


 頷いて、深月は三人を見回した。


「誰でもいいんだけど。河原に着いたら、誰か畠中さんに電話してもらえないかな。『影路深月に足止めされて身動きがとれない』って。

 苑條にはまだ俺たちが寮にいると勘違いしてもらえるし。

 他のメンバーにはそれが、俺たちのスタンバイが完了したっていう合図になる」

「戦闘中に電話に出るかな?」

「出るよ。樹さん、……今、苑條のところにいる仲間の一人は機械を操る理術を使うんだ。

 他人の携帯電話でも誰から発着信が来てるか確認できるし、通話内容を盗聴も出来る。みんなからの着信なら、苑條は内容が気になって出ろと言う筈だ」

「理由は分かった。けど嫌な能力だな、ソレ」

「でしょ。そちらの臨心寺さんになりすましたのも彼だよ」


 ついでのように付け加えてから、深月は隣の久路人にはっぱをかける。


「ま。したら、後は現場に到着するだけだね。もっとスピード出ないの久路人さん」

「狭い道で無茶いわないの深月ちゃん!」


 ともすれば一方通行でもおかしくないような裏道を走りながら、久路人は苦笑いした。

 ふと、左右を見回して奈由はぽつりと呟く。


「っていうかこの車。

 軽ですけど、五人乗ってていいんですか?」


 さほど大きな音量でないながら、鋭く響いた奈由の一言に、車内がしんと静まりかえった。

 潤と杏季は表情を固め、黙って顔を見合わせる。


「奈由ちゃん、だっけ?」


 ちょうど赤信号で車は停止し、運転手の久路人は振り返った。

 どこか恰好を付けた表情で彼は言う。


「大事においては交通規則など些末なことさ!」

「久路人さんてめえええええ!!!」


 先ほどまでの彼の雰囲気とはそぐわない、深月の怒号が車内に響いた。

 潤は後ろから、久路人のヘッドレストを再びがしりと掴む。


「お前えぇぇ!! こんな時に捕まったらどうしてくれる!?」

「ふざけんな何でシグさんに車借りてこなかったの! 久路人さんのそういうとこ、ほんとどうかと思う!」


 矢継ぎ早に畳みかけた潤と深月の言葉に、久路人は律儀に返す。


「捕まったらやだよね! だからめっちゃ裏道走ってる!

 シグちゃんが俺に貸してくれるわけないでしょ! 俺、まだ若葉マークの初心者だもん! 大丈夫、何とかなる!」

「おいこら久路人おおおおおお!!!」


 潤と深月は同時に叫んだ。


「やだ! もうやだ久路人さん! 大学生って汚い! 大人って汚い!」

「一歳しか違わないよね深月ちゃん!? っていうか皆、奈由ちゃん以外気付いてなかったの!?」

「何とか女性陣に理解してもらおうと必死でそれどころじゃなかったよ!」

「こっちだって突然に影路が来たって状況下で余裕なかったっていうか!」

「いやー。皆、真面目だねー。あんまり固いと生きにくくなるよ!」

「固い柔らかいの問題じゃない! どうしてミスが許されない状況下でこーいう綱渡りしたのかって聞いてんだよ!!!」

「待って騒がないであっきーがガチで涙目になってる」

「私! トランクに乗る!」

「そんな場面、目撃されたら逆に誘拐犯と疑われて捕まるわ!」

「安全運転で行きましょう久路人さん! 急がば回れ、犬も歩けば棒に当たる!」

「おい影路深月、不吉だからそのことわざは止めろ!!」


 荒く息を吐いてから、深月は席に座り直した。


「……とにかく。安全運転かつ迅速にお願いします久路人さん」

「へいへい、了ー解。

 でも俺らは契約解除の場面でいればいいわけだし、別にそこまで急がなくても大丈夫じゃない?」

「早く着くに越したことはないでしょ。それに楽しそうな場面を見逃したくないし」

「楽しそうな場面?」


 気になって、奈由がおうむ返しに尋ねた。

 ああ、と深月は口元に愉しげな笑みを浮かべる。


「タイミングを見て、高神楽文彦からネックレスを奪って畠中さんに渡す手筈になってるんだけど。

 その時、葵さんには、とりあえず畠中さんに抱きつけって言ってある」

「何それ超見たい」


 思わず奈由はばっと立ち上がった。今度は久路人が悲鳴をあげる。


「ちょっと! 奈由ちゃん! 狭い車内で立ち上がらないの!!」

「十六夜さんとやら! カッ飛ばして! 一刻も早く! さあ! さあ!!!」

「無茶言わないの! 待って待って揺れる車内揺れる運転ブレる、ちょ、ねえちょっと止めて! 両脇の二人、あの子止めて!!」

「なっちゃん興奮しすぎだよ!! 落ち着いて!」

「落ち着けるか! バカなの!?」

「なっちゃんに馬鹿って言われた!?」

「待って騒がないでまた白原嬢が涙目に!」

「私! やっぱり! トランクに乗る!!」

「乗るな! こっちに乗ってろ!!」

「カッ飛ばせ!!」

「助けて深月ちゃん!!」



 最後の最後まで騒ぎながら、それでもどうにか久路人の車は無事に河原へ辿り着いたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る