第37.5話 SS(サイドストーリー) ~妹たちに忍び寄る影~

              前書き

はい、SSです。

今回もSister×Sisterのお話ですが、影=Shadowとも掛けてます。

地の文は殆どなしでほぼ会話となっております。


ちなみに今回の話はちょっとした伏線回ですので見てくれると助かります。

ではどうぞ('ω')ノ


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 戦隊ショーで色々とやらかしてしまい、照山さんやモブや春風が監督に怒られる中、中学生の妹とヒカリは先に帰されることになり、二人で帰路についていた。


「はぁ~~~~~~……」


「ヒカリン、男にフラれたみたいな深いため息を吐いてどうした? あっ、さては今絶賛上映中の『君の名は。』を見て、恋人のいない人生に悲しくなったんだな。うんうん、分かるぞい。今度、一緒に髪をばっさり切りに行こうか?」


「全然違うし彼氏がいたことがないのはぞいちゃんも一緒でしょうが! あと、地味にネタバレをしないで。……私は今、お姉ちゃんがハゲだったことにショックを受けて落ち込んでいるの」


「なーんだ、そんなことかー。身内にハゲがいるなんて普通のことだし、気にしなくてもいいぞい」


「絶賛気にするわよっ! ていうか高校生のお姉ちゃんを親戚のおじさんみたいに言わないで! 実のお姉ちゃんが今までハゲを隠して過ごしていたんだよ? これって結構重大なことじゃない⁉」


「にゃはは! 重大って! ハゲで頭が軽そうなのに重大ってなんか笑えるぞい!」


「お姉ちゃんを笑うなぁ!」


「ぐふっ!」


 腹を抱えて笑っていた妹の顔面に、ヒカリの打ち下ろしの右チョッピングライトが思いっきり入った。


「うぅ…………ヒ、ヒカリンいきなり何をするんだ……っ! それに今の右ストレート…………どうやら身近なところに世界を狙える逸材がいたようだな」


「なんで殴られてるのにボクシングのおやっさん目線なの⁉ ……いくらぞいちゃんだろうと、お姉ちゃんを馬鹿にするのは許さないんだからねっ!」


「ヒカリンそれはこっちのセリフだぞい! いつも自慢げに品行方正なお姉ちゃんだとか学園の女王だとか言ってくるくせに、蓋を開けてみれば極悪非道のハゲ女じゃないか! あんな悪魔みたいなやつが兄やんの彼女なんて…………アッー! 考えるだけで鳥肌が立ってくるぞい!」


「えっ⁉ お姉ちゃんとぞいちゃんのお兄さんって付き合ってるの⁉︎」


「ちゃんと聞いたことはないけど間違いないぞい! 最近いつも一緒にいるし、聞いた話だとさっきのショーだって楽しそうに殴り合いをしてたみたいだし、……それに妹が初めてあのハゲ女と会った時、妹の服を着て変態プレーをしてたんだぞい!」


「なんですってええええええええええっ⁉ そ、そんなわけないよっ! 女子中学生の服を着て変態プレーなんて、そんないやらしいことをお姉ちゃんがするはずがない! …………ねえ、そうだよね? そうだと言って? ……なんで? なんで返事をしてくれないのよおおおおおおおおおお!!!」


「しっかりしろヒカリン! ショックなのはわかるけど、電信柱に尋ねても返事は返ってこないぞい! それに兄やんが変態なのはヒカリンも知ってるだろ⁉」


「……そうだ。お姉ちゃんに限ってそんな泥棒じみた変態行為をするはずがない。きっとぞいちゃんのお兄さんに恥ずかしい写真とか撮られて脅されたんだわ。……うん、それしか考えられない!」


「いやまあたしかに、兄やんの趣味は女性のおっぱいを撮ることだけど、あくまでそれは観賞用のコレクションだし、昔から正義漢だけは強い方だから、脅しとかしないと思うぞい。それに、どっちかといえば脅迫してそうなのはハゲ女の方だけどな」


「……ぞいちゃんのお兄さんってたしか、学校でおっぱいソムリエとか言われてるよね? それに、この間の病院でも三角さんのスマホを股間に入れて変なことをしていたし…………そういえば、いつも私のことをいい子いい子って感じの目つきでニコニコ見つめていたのも、よくよく考えてみればロリコンっぽい。…………うん、これってもう立派な事案! 今すぐ110番しなきゃ!」


「兄やんを変質者扱いするなぁ!」


「ひでぶッ!」


 スマホを取り出し110番を押そうとしていたヒカリの顔面に、妹の飛び膝蹴りが綺麗に入った。


「うぅ…………ぞいちゃん、いきなり親友の顔面にシャイニング・ウィザードをぶち込むなんて酷いじゃない! せめていつもみたいに江頭のヒップアタックとかにしてよね!」


「うるさい! 妹は今、がっぺむかついている! いくらヒカリンといえど、児ポ(児童ポルノ法)で兄やんをブタ箱に入れるなんて許さないぞい! せめて盗撮とかありきたりなやつにしてくれ!」


「そういう問題じゃないでしょ! どっちにしろ犯罪者には変わりないからねそれ! ちなみに、どういう違いがあるの?」


「そこはほら、『お前の兄貴、児ポで捕まったんだろ? だっせー』……とか言われるより、『お前の兄貴、写真を撮って捕まったんだろ? だっせー』……と言われた方がダメージが少ないでしょ?」


「明らかに後者の方がオブラートに包まれすぎ! あと、お兄さんが捕まるのは確定なのね。それはそれで悲しい気がする…………んっ?」


「どうしたヒカリン? 豊洲移転問題の首謀者でも見つけたか?」


「そんな闇が深そうな問題、いち中学生が見て分かるはずないでしょ! しぃーっ。静かにして。……悟られないようにあっちを見て頂戴。……ほら、知らない男の人がはぁはぁ息を荒げながら、電信柱に隠れてこっちを見てるでしょ? あれって絶対ヤバい人だよ」


「……あぁ、誰かと思えば。あのお兄ちゃんは妹のファンだぞい」


「そうなの⁉ お兄ちゃんってあの老けた人が⁉」


「ぞい。あのお兄ちゃんはああ見えて19歳で、妹軍団が訓練している公園によく一人で来るんだ。で、いつも妹たちのことをカメラで撮ったり、妹が飲んだジュースの空き缶を大事そうに持って帰ったりしている、かなり熱心なファンだぞい。だから気にしなくていいぞい」


「ビックリするくらい気になる要素満載じゃない! ファンじゃなくてただのストーカーだよそれって!」


「にゃはは。相変わらずヒカリンは大袈裟だなぁ。別に被害があったわけでもハイエースで拉致られたわけでもないから大丈夫だぞい。それにリサイクルで妹の使い古しの靴下とかを使うらしくて、それと交換でお金をもらってる立場だから、どちらかと言えばあのお兄ちゃんは被害者だぞい」


「完全にアウトォォォォォォォ!!! 誰がどう見ても立派な事案だよそれって! こうしてる場合じゃない! 早く警察に電話しなきゃ!」


「電話って何が? お兄ちゃんならもういないぞい?」


「しまった逃げられた! ぞいちゃん、追いかけるよ!」


「いきなり追いかけっことは、警察24時みたいで楽しそうだぞい! 了解でありますヒカリ警部! ヒャッハー! 知らないおっさん狩りだーっ!」


 こうして妹とヒカリの休日は過ぎていったのだった……。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――


                後書き


お久しぶりです。久永道也です。

ようやく出張から帰ってくることが出来ました。

これからは前みたいに一日一話更新で頑張っていこうと思います!


一週間くらい大阪に行ってましたが、やっぱり人情味のある温かい街ですね。

昔、大阪に二年くらい住んでいたんですけど、ご飯もおいしいし関西弁の特徴でもある会話のノリなど、正直かなり好きです。


移動日の空いた時間で昔自分が住んでいた場所を見にいきました。

景色とかだいぶ変わっていましたが、昔の思い出に浸れて大満足。

人生はエロゲでいう選択肢の連続。

若い頃は酸いも甘いもありましたが、それが自分の下した決断であり、それら全部含めて自分なので楽しいです。

本作の照山さんもそんな感じです。

悲惨な目にばかり遭っている照山さんですけど、彼女は後悔はしていません。

どこまでも前向きでまっすぐな照山さんを、本作で描いていけたらなぁと思っています。


でも、せめて人生にセーブポイントがあったらなあ。。。←


……あっ、ちなみに来週の10月4日からも出張の予定です( ;∀;)モウイヤー

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