第12話 水泳対決2

「卑劣な! 卑劣な卑劣な卑劣なーッ!」

 写真を仲間に任せてプールに飛び込んだ三角は、15m以上離れている照山さんをクロールで追いかける。

「くくく、来たわね。直角三角け――イッ⁉」

 照山さんの顔色が変わる。

 三角がグングンと距離を詰めてきたからだ。

 最初の飛び込みから数回水をかいただけで、あっさりと最高速度に達している。

 さすが県内二位の実力。照山さんも決して遅いわけじゃないが、それはあくまで素人レベルの話で、人魚と競争しているように差が縮まっていく。

「卑怯なことをしたってねえ! このくらいのハンデ、ハンデのうちにも入らないわ!」

 これで水泳部じゃないっていうから、まさに天性のものを感じさせられる。

 やはり、三角の運動神経は凄い。

 これじゃあ追いつくのも時間の問題だろう。……水泳で勝負を挑んだのは間違いじゃなかったのか?

「……フッ」

 俺の見解が間違いだとばかりに照山さんはほくそ笑んだ。

 何か手があるのか?

 するとここで、照山さんは手を胸の谷間に突っ込んだ。

 そして四次元ポケットのように、そこから取り出したものは――、


「な、なによこれ⁉」

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