第8話 学校新聞
「はあ……はあ……なんだあれ?」
照山さんを追って京陵学園についた俺は、校庭に設置してある掲示板に群がる人だかりを見つけた。
どうやらかなりざわついている様子。なにかあったのか?
「どきなさい!」
先行していた照山さんが怒声を響かすと、モーゼの十戒のように群衆が割れ、掲示板までの道のりができた。
そこを堂々と歩いていく照山さん。
俺も人だかりをかき分けて掲示板が見れる位置まで移動する。
掲示板には学生が発行する学校新聞の最新号が張り付けてあった。
そこには――。
「……何よ、これ」
信じられないといった表情で照山さんがつぶやく。
新聞の見出しには大きくこう書いてあった。
『大大大スクープ!!! 学園の女王、照山照美はハゲだった!』
昨日、俺を追い回してきたときの照山さん(ハゲ)の写真が載っていた。
……目撃されていたのか。そりゃそうだ。あれだけ叫びながらアイスピックを振り回して追って来たんだ。人の目につかないという方がおかしいってもんだ。
だけど、写真を撮られていたのは非常にまずい。それがこうして本人の許可なく公開されているのも非常に、非情にヤバい。
おそらく登校する時に感じていた違和感というかざわめきも、この事実を知った人たちから向けられていたものなのだろう。……これはやばいぞ。
立ち尽くす照山さん。
沈黙が場を支配する。
もちろん、そこにいる者たちの注目は全て照山さんに向けられている。
照山さんはフウと一息吐き。
「……ち、近頃のCGはすごいわね」
顔をひきつらせながら誰にでもわかる嘘を吐いた。
こうして照山さんのハゲは一日持たずにバレたのであった。
……これからどうなるんだろう。
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