告白

「俺、香織のこと、好きだ」


 香織はそう言う意味じゃない、そう言っていたけど、俺は言った。自分の気持ちに気付いてから、抑えられなくなっていた。

 そう、これは天使香織にかけられた呪い。この呪いを解くには伝えるしかない。だから、伝えた。

 つい、顔をそらしたくなる。けど、逃げずに真っ直ぐに香織の目を見る。


「その、いっくん、それって……?」


 不安そうに聞いてくる。あぁ、解呪はできても、やはり、香織とは一緒にいられないのか……。俺みたいな悪魔と、香織みたいな天使は……。


「俺は、その、香織に、恋してる、と思う……」


 俺は答えた。でも、それが限界だった。

 それ以上は香織を見ていられなかった。

 手を離し、顔を背けてしまう。


「いっくん、ありがと。その、あたしもいっくんのこと、好き、だよ。その、恋、してる……」


 え?自分の耳を疑った。隣を見ると、香織は顔を真っ赤にしてうつむいている。


「え?でも、さっき……」


「だって、いっくんもそうだって思わなかったし、その、今までみたいに一緒にいられないって思ったから……」


「俺も、同じこと、考えてた。でも……」


「あたしたち、似た者同士、だね?」


「……うん」


 香織も俺と同じだったなんて、なんか、嬉しいな。





────────────────────────────────


 いっくんもあたしと同じ気持ちだったなんて嬉しいな。

 でも、さっきの話だと、あたしが天使、ってことなのかな……?だとしたら、嬉しいけど、恥ずかしいな。

 でも、いっくんは悪魔、なんだよね……?だから、一緒にいられない……?

 違うよね?だって、あたしは──


 恋に堕ちた天使、堕天使悪魔なんだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君と 星成和貴 @Hoshinari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ