第113話 メンズボックス × ポップギャル 合同企画③
「廉くーん」
「りこぴょん」
熱々カップルが、はっしと抱き合うのを皮切りに、モデル同士はすぐに打ち解けた。
「は、はじめまして御子柴さん! あずりぃと言います。デビューから大ファンです」
「ありがとう。今日はよろしく、あずりぃ」
「あの、亜美ぴょんです。今日はよろしくお願いしますう」
「志岐走一郎です。よろしくお願いします」
「俺、大河原です。よろしくね」
モデル達はすぐに打ち解けた。
そう。
私以外は……。
「……」
最後に現れた白塗り青目おばけに、四天王はドン引きしていた。
しかも……。
「君は確か……夕日出さんと一緒にいた……」
そうだった。御子柴さんにはゴスロリ姿で一度会ってたんだった。
夕日出さんの彼女という名目で……。
「ポップギャルのモデルだったんだ」
御子柴さんの視線が冷たい。
普段の真音に向ける温かなものは
こ、これは辛いぞ……。
「は、はじめまして、イザベルです」
「は! イザベル? なんだそれ?」
大河原さんがさっそく大爆笑した。
「えー、さちょぱじゃなかったの? うそー」
廉くんはさちょぱも知り合いらしい。
「イザベルが仕事取ったぴょんよ。さちょぱ、可哀想ぴょん」
「えー、ひどいね。見た目通り意地悪なんだね」
いえ、見た目はともかく意地悪されてるのは私の方で……。
いや、そんな言い訳を聞いてくれそうな人は一人もいない。
これは一人アウェイの戦いとなりそうだ。
つ、辛い……。
「えーっと、じゃあカップルを発表します」
編集部の人が説明を始めた。
「まず、廉くんとりこぴょんね。それから御子柴くんとあずりぃ。そして志岐くんと亜美ぴょん。最後に大河原くんとイザベルです」
女子達はみんなお目当ての相手になったらしく、きゃあきゃあ騒いでいる。
そして……。
「うっわ、大はずれじゃん。何で俺がイザベル?」
大河原さん、最近いい人だと思ってたのに……。
ひどい言い方です。
まあ、わたしが大河原さんの立場でもそう思うだろうけど……。
すでにやる気をなくしたらしく、ふて腐れている。
「まあまあ、そう言わずにカップルらしく振舞ってよ」
「はああ、テンション下がる」
そんな大河原さんに突然志岐くんがとんでもないことを言った。
「あの……俺代わってもいいですよ」
ええっ!! 志岐くんが?
そ、それは嬉しいような、困るような……。
いや、やっぱり困ります。
平常心でいられなくなります。
「おお、じゃあ代わってくれよ、俺亜美ぴょんがいいよ」
大河原さんは喜んだが、亜美ちゃんはちょっと不服そうだ。
「いや、衣装の兼ね合いもあるし、それは困る。みんなここは仕事だと割り切ってやって下さい」
「えー、せっかくいいって言ってんのに……。案外志岐みたいな真面目そうなヤツがこういうド派手な女を好きだよな。なあ、志岐?」
そうなんですか? 志岐くん。
「……」
志岐くんは何か考え込むように私を見ている。
え? ゴスロリ好き?
「はい。僕は美しい人だと思います」
ええーっ!! まさかのそういう趣味?
意外だ。私の妄想劇場もまた大幅修正が必要なようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます