第51話 ポップギャル②
「?」
会議室に戻った私を全員が唖然と見つめた。
先にオーディションを始めていたらしく、前の机に編集部の人達が陣取り、その回りをパイプ椅子に座った女の子達が囲んでいた。
全員一斉面接のスタイルらしい。
「え? 誰?」
りこぴょんが思わずぴょん語を忘れて尋ねた。
「なべぴょんよ。凄い変身でしょ?」
石田さんがメイクの出来栄えに満足したように胸を張って答えた。
いや、私なべぴょんなんて名前じゃないんですけど。
「へええ。男には見えないわね。……というより可愛い」
編集長も満足気に肯いた。
いや、そもそも男じゃないですし。
「ユメミプロ所属だっけ? りこぴょん同じクラスでしょ?」
「えー、そうですけどぉ、りこぴょんは出来れば中ぴょんを推薦したいですう」
「審査は公正にね。りこぴょん」
「はあい」
「なべぴょんだっけ? フルネームは?」
「か、
「……」
「なんで、なべぴょん?」
こっちが聞きたいです。
◆
「え? 受かったの?」
御子柴さんは意外そうに聞き直した。
その聞き方で、受かるとは
「はあ。今朝、事務所の方から連絡を頂いて……」
最近は御子柴さんにもらった携帯のおかげで連絡がスムーズだった。
ポップギャルの専属モデルに決まった。
受かった五人の内、二人ユメミプロらしい。
しかし、もう一人は中ぴょんではなく、地下アイドル組の子だった。
「地下アイドル3組の八木沢さんも受かったそうです」
どの子だかはよく覚えてない。
「ああ、、亜美ちゃんね」
御子柴さんは知っているらしい。
「知ってるんですか?」
「前に録画番組で一緒になって挨拶に来た。ダメとは思ってたけど、本番は全然コメント出来なくてフォローするの大変だったよ。地下アイドル組で最近ダントツ人気らしいけどね。もうすぐ芸能2組になるんじゃない? いや、もしかしたら一気に芸能1組かな」
「まさか、御子柴さんの元カノじゃないですよね?」
「いや、さすがにあの子は受け付けない」
「一回り以上の年上もオッケーの御子柴さんが
「誰でもいいみたいに言わないでくれる? 俺、ぶりっ子はダメなんだ。特に思わせぶりな仕草のぶりっ子は絶対無理」
「はあ。ぶりっ子ですか」
「面接で会ったんでしょ?」
「ぶりっ子といえば、全員そんな感じでしたから……」
「はは。苦労しそうだね」
「前途多難です」
「そういえば、志岐もメンズボックス受かったよ」
「ほ、本当ですか!」
「うん。俺がプッシュするまでもなく専属カメラマンが気に入ってたからね。見る人が見れば、志岐の姿勢の美しさは格別だろうから」
「当然です! 順当な結果です!」
御子柴さんはにやにやと微笑んだ。
「嬉しそうだね。噂によると、まねちゃんが志岐を避けてるって話だったけど」
「わ、私が志岐君を? そ、それは……」
「なに? 本当なの?」
「いえ、避けてる訳では……。ただ、近付き過ぎると迷惑をかけてしまうので……」
「なるほどね。そういうことか」
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