4月

 眩しい。何時だろう。


 カーテンから差し込む光で私は目覚めた。

 手元にあった携帯をつけて時間を見る。5時42分。よかった、寝坊はしていない。

 私は開かない目をこすり、だるい体を起こした。


 どうやら、昨日は寝落ちしてしまったらしい。照明は消えているが、深夜に勉強などをするときに愛用しているデスクライトがつきっぱなしだ。



 昨日漫画を読み終わった後、夕食や風呂、歯磨きを終えて、私は『サンライザー』の5月のイベントの企画書を書き始めた。

 イベントの企画や原案も私の仕事のひとつだ。

 ある程度の想像は自分の中にあったから、さほど時間はかからないだろうと思っていた。

 が、書いていくうちにどんどんアイデアが浮かんできた。それを一つずつ紙に書き留めてまとめ、清書しているうちに寝ていたらしい。

 見たところ企画書は完成している。そこは自分をほめたい。

 でも眠い中書いたやつって中身おかしいことが多いんだよな。誤字も多いし。

 あとで見直ししないと。

 そして体のあらゆる部位が痛い。あと数歩歩けばものすごく快適そうなベッドがあるというのに、どうしてここで寝た。せめて例の恐ろしくふかふかな椅子で寝よう。

 一転して昨日の自分に文句を垂れながら洗面所に向かう。

 とりあえず顔を洗うと、少しすっきりした。

 今は5時42分。朝食は夕食同様決められた時間に用意されたメニューを各自食堂でとることになっている。朝食は6時半から8時までの間だ。7時くらいに行こうか。

 ちなみに昼食は、昨日は自由だったが、今日のように授業がある日は4時間目が終わった後、みんなで食堂に向かいみんなで同じ時間に食べるらしい。席は自由だ。昨日は知っている人と時間がかぶらなかったので一人で食べた。『lonelywolf』の椰子丸先輩と梅原くんはいたのだけれど、話したことがないし、ダークで寂しげ、というテーマのせいか正直『lonelywolf』は少し怖いイメージがある。仕事をしたら印象は変わるかもしれないが、今は絡みに行く勇気もコミュ力もない。

 今日はおそらく『PHENIX』と食べることになるだろう。一般生だった時も、時間さえ合えば必ず『PHENIX』が一緒に食べようと誘ってきてくれていたのだ。


 とりあえず、朝食を食べにいく7時までに企画書の見直しをしよう。1時間もあれば足りるだろう。

 そんな計算をしながら洗面所を出る。そして寝室へと向かった。

 気持ちを切り替えるために部屋着を脱いで、クローゼットからTシャツとワイシャツを探して身に着ける。少しだけ冷たい布の感覚が、肌の上を滑っていった。

 Tシャツとワイシャツ、スカートだけを身に着けて私は机へと戻った。ブレザーは食堂に行くときに着よう。

 膝立ちでシャーペンを握る。

 本当は胡坐でもかきたいところなのだけど、昨日その状態で寝たせいで股関節あたりがバキバキだ。今そんな体勢をしようものなら今日一日は歩けないだろう。

 ホッチキスで綴じられた紙をめくって読んでいく。

 あ、意外と変じゃない。ところどころ言葉がおかしいが、通じないほどではなかった。もちろん書き直すが。


 思っていたよりもミスは少なかった。このペースだと30分もかからなさそうだ。余った時間はどうしようか。6月の『Transparence』のイベントでも考えようか。でも多分、一度彼らの練習を見てからのほうがいい気がする。『サンライザー』は二年ほど前から活動していて記録も多く残っているけれど、今年結成されたばかりの『Transparence』は違う。記録らしい記録は『春フェス』のものしかない。個性や魅せ方を研究する材料が足りなさすぎる。

 じゃあ勉強しようか――だるいな。勉強はできないほうではないけれど、好き好んでするほどできるわけでもない。

 誰が着るわけでもないけど、衣装でも考えるか。

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