n章

 燃えている。目の前で家が。他人の家だったなら「可哀想に」で済んだかもし れない。だけど今、目の前で燃えているのは私の家だ。

『この家も無くなるのね』

『これでもう呪いの心配は無くなったのかしらね』

 やって来た野次馬達が好き好きに言う。

『でもあの子が生き残っているわよ』

 野次馬の中の一人が私を指さし言う。

『全く、一体誰があいつを引き取らなければいけないのかしらね』

『私は絶対に嫌よ』

『私だって』

 何故、痣があるからと言ってこの様な扱いを受けなければいけないのか。

 親しかった人が死んだにも関わらず、不思議と涙は出なかった。

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彼岸花 桜 導仮 @touka319

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