待ち合わせの果てに 1

時間は正午を回っているだけあってオレンジの太陽が憎いほどに熱い。俺はとりあえずしゃがんで待つことにした。すぐそばには剣士もいなく完全に一人の空間。遺跡の影が俺を直射日光から遠ざける。吹き抜ける風は音を鳴らし、それに揺れる植物は霜でたまった水滴を落としていく。今日は戦闘する気もないため剣も持ってきていない。しかし、またそれがいい。いつもなら肩がこってしかたがないのだが血流を妨ぐものがないからか今日は異様に体が軽い。服装もいつものレザーコートをはずし、tシャツ一枚のため、風が肌にあたる。俺は知らないうちに眠りについていた・・・・。


「ブレッドさん、ブレッドさぁ~ん」


俺の瞼が再び開いたとき、そこにはセフがいた。

何度も俺の頬を叩いたようで頬がジンジンといたい。


「もう起きたから。痛いからそれやめてくれ」


そっけない態度に愛想が尽きたのか顔を膨らませるセフ。おい、俺に人間関係的なので何か求めるな!。今すぐそう言いたいものだが自虐ネタにも限度というものがある。


「行こうぜ。フィルたちが待ってるぞ」

「はい」


元気に返事を返したセフの顔は笑っていた。きっと一週間ぶりにお兄ちゃんに会うのが楽しみなのだろう。しかし、彼女の幸せはそう長くは続かない。この時代に絶対的な安全は

存在していないのだから・・・。次の瞬間、俺の視界の端に雷光が映った。一直線にセフへ向かうそれは俺の瞬きの間に彼女の体を引き裂いた。

2メートル以上も吹き飛んだ深紅の血液。

俺の目にはどす黒く映ったそれは理性を吹き飛ばすに十分すぎる衝撃だった。


「誰だよ・・・一体・・・お前らは何がしたいんだよ!」


俺の声に続いて姿を現したのは黒いフードを深くかぶったポンチョの男。それが大体30人というところだろうか。それぞれてんでんばらばらの武器を持っているが俺の目にはどれも歪んで見える。自分の判断を待たずに剣を抜こうとするが今日は持ってきていないことに気が付き数歩後ろに後ずさる。


「お~いおい、ブレッドさんよォ、どうやら今回ばかりは俺たちに殺されざるおえないみてぇだなァ。どうした、武器も持ってねェなんて剣士失格だなァ。おかげで見ろよォ。この子、死んじまったじゃねぇかァ」


黒い手袋をはめたポンチョの男はセフの引きちぎられた上半身を持ち上げながらそういった。

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