パルム 5
「さぁ、本題に入るとしよう。パルム君に一体何があったのか、それを話すには君に彼の家族のことを理解してもらわなければならないかな」
俺は唾をのんで話に集中する。
「彼の生まれた場所は実はカナリアではなく
この町、ジルト村なんだ。そこで4人家族として生活していた」
4人家族・・・そういえば俺はまだ彼の家族に会ったたことがなかったな・・・まてよ、四人ということは兄弟がいるということか?
「そのとうりだ。ブレッド君。彼には兄弟がいた。名前はレッグ。とても活発的な子で知力だってとてつもなく高くていつも笑っているような子だった。パルム君にとって彼の存在はとても大きかったみたいでね。いつも一緒にいたらしい。ブレッド君。君はさっき思った通り彼の家族に一度もあったことがない。それも当たり前なんだがな」
相変わらず無表情で話すその男は一瞬言葉を止めた。
「それは、どういうことだ・・・」
「彼の家族はパルム君以外・・・いや、正確に言えば肉体的にはパルム君以外はみんな死んだんだ」
驚きのあまり握っていた剣が地面に落ちる。
「ブレッド君も知っているように彼の父であるジンクスはハバネイロドラゴンとの戦闘に敗れ死んだ。しかし、彼の残した秘伝書は残ったんだ。そこにはたくさんの必殺魂法や魂法剣技が載っている。だからそれに恐怖を覚えた信教神教会は彼の住んでいた町に神都ヴォーストの魂法使いを100人連れて爆破しにかかった」
あまりの急展開に脳みそが付いていけず俺は頭をかく。
「つまり、ジルト村は信教神教会を相手に戦争を起こしたってことか?」
「そうだ。しかし、少し違う。レッグだけが戦ったんだ。レッグの知能はとても人類のものとは言えなかった。それだけ頭のよかった彼が信教神教会の奇襲を予想していなかったわけもなく、彼は町の全滅を防ぐため町の一部を魂法で吹きとばした」
それはつまり、町を守ったと言ことだろうか。
「確かに一般的に考えればそう考えるのが普通だろう。しかし、町を守るつもりでやったことだが彼の家族は守ることができなかった。
彼の家族を殺しにやってきた信教神教会は100人で家族のことを襲ったのだ。その知能と遺伝から彼らは過去に類を見ないほどの検討を繰り広げた。しかし、建物は崩れ母も父も殺されてしまった二人の兄弟になすすべなどなく最後はパルム君をかばったレッグは小さい体を50本の光のやに貫かれてパルム君の目の前で死亡。それにおこったパルム君はジンクスの秘伝の書を持ったまま神都の魂法使いをたった一人で全滅させた。しかし、目の前で大切なものを失ったパルム君が心に追った傷は絶大で次第に彼の心の中にはもう一つの人格が出来上がっていた。それが・・・犯罪者パルムの正体である、レッグの人格だ・・・」
本当にどういうことだ。彼は二重人格者だとでもいうのだろうか?しかし、今までそんなそぶりを見せたことなんて一度もなかったはずなのに・・・
「確かにそうだ。しかし、彼の人格はおそらく昔の記憶から再び復活したのだろう。ちなみにパルム君の記憶は信教神教会によって消されいるがな」
俺の頭の中を衝撃というふた単語が包み込んだ。
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