第7話 ~迫り来る中間考査~

 今日は5月3日。世間ではゴールデンウィークとか呼ばれる連休の初日で旅行とか遊びに出かけたりとかする人も多いだろう。


 ただ・・・N高生に休みはない。


 第一回考査。生徒たちの間では中間考査と呼ばれるテストが目と鼻の先にまで迫っているのだ。全部で5回ある考査のうち1つ。赤点は50点と無駄に高いから、みんな必死だ。中学校の頃は留年はなかったが、高校ではあるから成績下位のまま高1になった人間たちはしょっぱなから爆死することとなる。

 あたし、岩永藍はそれほど成績は悪いほうではない。120人中20番以内には常にいる。だが、今回ばかりは高校に入ってから初めてのテストということで、緊張・・・はしない。赤点さえとらなければ大丈夫なわけで、中学校の頃に赤点を取ったことがないあたしには正直赤点など縁がないのだ。それでも美里には負けたくないからちゃんとテスト勉強はするけど。


 ということであたしのテスト前の勉強は、専らほかの人に教えることで時間を費やす。特に、こいつには。

「ちょ、前山!Be動詞と一般動詞の区別つかないとか中学校からやり直せ!」

「知らん!Be動詞てなんだよ英語とか全部feelingだし!」

「なんでfeelingだけ無駄に発音がいいの絶対言い慣れてるでしょその単語だけ!」

「だけど比較の構文覚えてないのは致命的だよね」

「だよね!思うよね!ほら彩乃だってそういってんだからあたしだけの意見じゃないよ」

「はあ・・・人間ってこれだから愚かなんだよなあ・・・」

「えっ前山あんた人間じゃないの?!」

「いやこいつ人間じゃないって知らんかったの」

前山のドМ属性は今日も存分に発揮されているが、本当はこんな茶番をしている場合ではない。あたしだって部活を言い訳にして順位を落としたくないし、彩乃は大丈夫だけど前山は本当に赤点を取って留年するかもしれない。教えあったりしながら、意地でも乗り切らなくてはならない考査なのだ。

「よし遊ぶかあ!!!!」

「前山あんたホントに首絞められたいのガチ系でドМなのアホなの帰れ!」


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5月3日(Sat)

中間考査は5日後の8日から。美里に負けたくない。まだ一回も美里に成

績で勝ったことはない。

・・・肩凝った・・・前山みたいに天真爛漫に過ごしてみたい

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