あくまで一個人の解釈です。
作者の意図するところとは違うものが含まれている可能性が高いです。
理科室には危険な薬品も多く保管されていて、学校という規範に迫られる場所の中でも殊更に雁字搦めを強いられる。それは生徒と教師のどちらにあろうと変わらない。
しかし二人にとってはそこが規範に縛られる必要のない場所となる。
規範の中で異端は排除され続けるのだが、規範というものにある穴は、目立つ異端に目立たぬ異端が秘匿され続ける事にある。
そして二人は目立つ。
馴染まない者と馴染まない者が馴染むのはよくある話であるが、筆致から滲み出す凪は二人が馴染むというよりは混じるといった方が正しく思う。そこがこの話の面白みと感じる。
いじめに屈しないのではなく無関心な明石の心の拠り所を探す事を滞留させているのは、規範の中に長く入り込みすぎた溝呂木すら感知していない相似からの傲慢な好意のせいではないかと思う。
ストロベリージャムは甘く赤く、現実から離れるには容易な手段で、理科室もまた甘く赤く明石には感じられているのかもしれない。が、それは虚像だ。