第9話 死

「アハハハ、シン~ダ、シンダ、シンジャッタッ!! ネエ? ソコノオンナ、オマエモ、オモウダロウ。ムシケラミタイナ、ニンゲンデハ、オレッチヲタオセナイトイウコトガ……サッ!!」


 少年の斬首された姿が私の視界に入り、現実に死んだんだと思った。


「そ、そんな……私は…ただ、おばあさんの仇を取るために―――」

「ナニ? マサカ、ジブンノセイデ、ソコノオトコノヤツガ、シンダトオモッテルノカ?」


 そうだ……私は悪くない!! この化け物が白髪の少年を殺したのだ。私が仇を取るために、森に来たからではない。結局、罪人で死刑になる予定だった人間じゃないかっ! 私は……私は―――


「お前が殺したんだ……俺をこの森に連れてきたから死んじゃったよ。ねえ? 何も悪いと思わないの? こんな無残に死んで、君の「仇を取りたい」という勝手な気持ちで俺の死体を生み出したんだ。さぞ僕みたいな人殺しが死んでうれしいんだろうね。どう? 人を殺した感想は。」


 白髪の少年の幻に襲われる。そうか、私の所為で死んだから、こうやって私に死後の幻となって出てきたのか。


「ごめんなさい。私は自分で命を絶ちます」

 私が自分の剣で自害しようとしたときだった―――


「おい! 化け物の幻に惑わされるな! 」と謎の人影が白髪の少年にナイフを刺した。


「グワッ!!」ナイフで刺された少年は化け物の姿になり、動揺していた。 

「なぜ、お前が生きている!?」


「俺は不死なんだ……。絶対に死なないんだよ。」


 白髪の少年の幻の正体は化け物だった。そして本物? の少年が私の眼の前に現れた。

 不死? 死なない? どういうことなのだ? 私は夢でも見ているような感覚に陥った。


 化け物が問いただす。

「不死だと……? そんな戯言ざれごとに受けて、動揺させて、何が目的だ!?」


 それに少年が答える。

「動揺だと? ハハハ、俺が死んだのはお前が見ただろう。それでも俺が生きているっていうのは『不死』以外にありえねえだろ。何なら、試してみるか?」


「試す? 何をだ!」

 化け物の疑問に少年が説明を始める。

「今から10、かぞえる間に俺を殺してみろよ。俺はここから一歩も動かないぜ」


 彼の言ってることが訳が分からない。ただ、彼は生きていた。私はそれだけで救われた。





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