第8話 正体

「ニンゲンゴトキガ、ナゼ、オレヲバケモノト、ワカッタ? コタエロ、シロイ、ガキ!」


 男の子は突然、巨大になり、私達の倍はあろうかという大きさになっていた。鋭い歯に、尖ったナイフのような尾が4つある黒い姿の化け物に私は呆然と立ちつくしていた。……こんな化け物見たことがない。

 それをよそめに白髪の少年と化け物は言葉を交わす。

「ああ、お前の見た目は完全に子供だったよ―――」

「ジャア、ナゼワカッタノダ!?」

「でもな、お前の俺たちに対する殺意を感じたんだ。明らかに悪意のある殺意がな!……」


「ハハハッアハヒャヒャ、オマエミタイナ、ニンゲンハ、ハジメテダ。ソウカ、サツイカ……コンドカラ、キヲツケヨウ」


「お前は色んな人間の姿になれるのか……。」

「アア、ナンデモナレルゼ」


 あっけに取られていた私も正常な状態に戻り、この化け物に訊かなくちゃならないことがある。おそらくコイツが―――


「お前がおばあさんを殺したのか…? 」

「ナンダ、オンナ…。ババアハ、オレガコロシタガ、ソレガナニカ? タマタマ、ハラガヘッテテヨ~、ババアナンザ、クイタクナカッタガ、シカタナククッタ。デモ、オモシロカッタナ。オレガ、シンダジジイノスガタデオソオウトシタラ「おじいさん、おじいさん」ッテ、ナイテタンダゼ。ア~ア、ダメダ、ワラケテキタゼ。ハーヒャヒャイッヒヒフフ、ハハハハァ!!」


「お前……絶対、殺―――」


 私が剣を奴に向ける前に白髪の少年が奴をナイフで殺そうと、先に攻撃を仕掛けた。

「その汚ねぇ口をグチャグチャにしてやろうか? バケモン!」

 が、そのナイフは無残にもくうを切った


「ア~ア、コレダカラニンゲンハコマルナ。オレヲコロセルトオモッテイル、マッタクアワレナ、イキモノダナァ!!」


 化け物から伸びた鋭い尾が少年の首を捉え、切断されてしまった―――

  あまりの出来事に私はただ、成すすべなく、絶望に打ちひしがれた。

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