第7話 覚悟

「本当に居るんでしょうか?」

私は白髪の少年とおばあさんを殺した奴を探すため、森の中を歩いていた。


「居るだろ。それを証拠に、ほら…」

森には少しだが、おばあさんの家に落ちていた毛と同じものが落ちていた。


「ヤツは必ずこの森にいる。おそらくはそいつは獣の類だろうな。しかも、相当に危険な生物だ。誤って殺される可能性だってある。それでも君はそいつと戦う覚悟があるのか? 引き返すなら今だぜ。」


彼の言うとおりかもしれない。最悪の場合、私は死ぬだろう……。

それでも、私は…

「行きます。私はそいつを許せません!」

覚悟を決めた。自分の正義は死んででも通す。


「わかったよ。アンタは本当に騎士の鏡だな。無理を言って、宿に泊めてくれたお礼に俺もそいつと戦ってやるよ…。」


彼はやはり悪い人ではないな。という思いが私の心を駆け巡った。


「ママ~!! ママ~!!」


……………。突然、子供の泣き声が聞こえた。その声のする方に行くと、一人の男の子が泣きながら歩いていたのだ。


私はその子に声を掛けた。

「どうしたの~? お母さんとはぐれちゃったの?」


男の子は頷き、話を聞かせてくれた。

「グスッ、ママと木の実を取りに来たの。それでね、ママがどっかに行っちゃったの~。アー、アンアンアン…。」


男の子は激しく泣き出し、私は「大丈夫、大丈夫」とその子を抱きしめてあげた。すると男の子は泣き止み、屈託のない笑顔を見せてくれた。


それを見ていた白髪の少年が男の子にナイフを向けた。

「何のつもりですか!! 何でこの子にナイフを向けるんですか!!」


私は「え~ん、おにいちゃん、怖いよ~。」と怖がる男の子にナイフを向ける少年に怒りを感じざるを得ない。


「おい! もうわかってるぞ化け物…。早く正体を現してみたらどうだ?」


少年を言葉を聞いた男の子は急に泣き止んだ。

「ナゼ、ワカッタ?」


男の子から発せられた言葉は人間のそれとは違うものだった。


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